黎明の廃人日記

最近はやや更新が途切れがち、斜めに流し読み。
貴方にも私にも人生の役には立ちません。

まあ、予想はしていたので

2015年02月01日 18時09分03秒 | Weblog
2月1日分。

 毎度。うっかり昨日の分の更新が飛びましたが、こっち側の仕事をバイト的に手伝っているのもあって、生活時間がちょっと変な時間帯にスライド中な影響も多々。幽霊です。そういえば、気が付いたらもう2月ですね。メンタルでダウンして丸1か月か……とりあえず体調がある程度戻ってきただけでも、まあ有り難いと思うべきでしょうか。

 いわゆるイスラーム国による邦人身代金誘拐の件に関しては、ほぼ予想していた通りの終わり方になったようで、あまり驚きめいたものはありません。むしろ今の時点での関心は、ヨルダン人パイロットの方に向いています。正味、既に彼らにしてみれば日本に対しての宣戦布告と示威行動としてのデモンストレーションは充分に果たしているので、日本人の人質を残しておく必要性も無くなったと言うことでしょう。そも私自身は、割と早い段階で湯川氏・後藤氏とも殺害されていたのではないか、と思っているくらいですが。
 ヨルダン政府としては最大限、外交ルートを使って交渉をしてくれていたでしょうし、日本政府も直接の交渉ルートは無いなりに、突如窓口にされてしまう形となったヨルダン政府と諸々の折衝があったことでしょう。今回の件に関しては、そも日本にはほぼ最初から取り得る選択肢が何もないに等しく、最初から「詰み」の結果だけを見せられていたようなものなので、政権批判に持っていくような話はどうかな、といったところ。中東訪問がきっかけにはなったでしょうが、それも別に、ただきっかけとしてタイミングが良かっただけかと。
 ただ、自己責任論云々という部分はちょっと脇に置いておくとしても、この先は後藤氏がシリアに入る前に残していたメッセージにあるような「日本人だから殺されなくて済むだろう」といった考え方ではもう通らない、ということは確かです。皮肉にも、自身の発言を自身の結果が否定してしまった形になりましたが……。既に、いわゆるイスラーム国側にとっては、日本もまた、彼らに敵対する欧米諸国の一翼を担う「聖戦で殺すべき敵」であると認識されているわけですね。
 現地の情報は、危険地域にまで自ら立ち入らなければ集められない、伝えられない、というジャーナリストの主張も分かります。それを伝えようとする使命感の強さを持てる人を、これまで私は散々ひどい言い様をしてはいますが、尊敬はしています。ただその一方で、それは自己満足に起因していたり、もしくは「一発逆転での大成」を狙ったもの、にも外側からは見えてしまう。そしてまた、どれだけ尊い志があろうとも、「聖戦」を掲げる人達にとっては、それはあくまで「邪教」なり「異教徒」、すなわち「敵」の戯言としか思われないということです。
 日本人、私たちとは根本的に考え方の違う人達が存在するということを如実に見た一件だったなというのが、今回の一連の件についての、現時点での個人的な「感想」です。

 邦人身代金関係はそこまでとして、ニュースを追っていくと、並行して、いわゆるイスラーム国に対しての攻撃や、逆に彼らへ賛同する組織によるまたさらなるテロ攻撃のニュースも次から次へという感じ。アルカイダのときにもそうでしたが、相手の本拠地に一発爆弾を落とせば、ミサイル一発たたき込めば済むという状況に出来ないというのが、非常に厄介ですね。極端な話、今のいわゆるイスラーム国と呼ばれている組織が仮に壊滅したとしても、また別の似たような組織が立ち上がってくるでしょう。
 先日に読んだ『イスラーム国の衝撃』からかいつまんで引っ張ってくるとすれば、「アラブの春」によって、ある意味で民衆を力で抑え込んでいた中央体制が崩れ、しかしそれを代替できるだけの民主主義的な受け皿が育っておらず、結果として今は政治的な空白期間のような状態になっています。そこに来て、部族や宗派、地域主義などがごっちゃごちゃに入り交じってカオス状態になっている、というのが今の中東情勢のアバウト過ぎるまとめです。その空白をついて、聖戦を掲げる過激派が一定の支持を集めてしまっているという現状もあります。
 力で頭を押さえ込んでいた旧支配政権を打倒したのはいいものの、その代わりとして国家を運営できるだけの統治能力を持った存在が無く、むしろ良くも悪くも統治能力を持っていた旧政権が崩壊したことで,一時的に情勢が悪化してしまっている。過渡期の状況とも言えるのでしょうが、いわゆるイスラーム国もまた、過渡期に起こる「現象」の1つでしかなく、それ1つを潰したところでまた別の名前の何者かが同様に「現象」として立ち上がってくることになるものかと。
 また先の長そうな話ですね、これもまた。

 ではでは。ひゅう、どろん。