昨日に引き続き「後期高齢者医療制度」について「医療と憲法」を考えてみたいと思います。
政府は、75歳以上を他の世代と区切って「後期高齢者医療制度」をつくる理由として、これらの高齢者が「心身の機能が低下し、入院も増える」ことなどをあげています。しかし、歳をとれば健康を害する場合も多くなることは誰も同じで当然です。「医療費がかかる」といって高齢者を追い出す姿勢は「姥捨て山」と同じ発想だと批判されても仕方ありません。
こうした理不尽な制度改悪を強く求めてきたのは誰かというと、それは財界・大企業です。公的医療保険は、国民(保険料と窓口負担)と事業主(企業の保険料)と公費(国と地方)で運営されていますが、特に財界は「企業の税・保険料負担を減らすため、社会保障給付費を切り縮めよ」と政府に迫り、①高齢者医療を現役世代から分離すること、②高齢者の医療費負担を抜本的に増やすこと、③診療報酬を「包括払い」にかえ、保険給付を制限すること--などを要求していました。2020年頃には大量に退職した団塊世代が75歳以上になる頃です。そうなっても国の財政負担と大企業の保険料負担が増えない仕組みを今のうちから作っておこうというのが、政府と財界の狙いなのです。
政府・財界は「社会保障給付費を抑制しないと、財界や経済が大変なことになる」と言って医療・介護・年金・福祉など社会保障のあらゆる分野で、国民に負担増と給付削減を押しつけてきました。「後期高齢者医療制度」もその一環です。
「財政難だから仕方がない」--本当にそうでしょうか。日本の社会保障給付費はGDP(国内総生産)の17.4%と、イギリス(22.4%)、フランス(28.5%)、ドイツ(28.8%)と比較しても大きく立ち遅れた状況であり、日本の経済全体から見れば、社会保障を充実させていく力は十分にあるわけです。
日本企業の税・保険料負担は、これらヨーロッパ諸国の6~7割に過ぎません。自公政権が推し進めてきた大企業の法人税の大幅軽減や所得税の最高税率の引き下げ、株取得への優遇税制など、大企業への減税をあらため、10年前の水準に戻せば、7兆円の財源が生まれ、さらに聖域としている軍事費や大型公共事業へのムダ遣いをあらためれば財源は十分あると言われています。
また逆に、社会保障を充実させることによって、雇用も増やせられれば、経済の安定成長も図られるでしょう。
政府は、こうした将来的な財源確保のために、福祉目的税として「消費税」の大増税を企んでいますが、低所得者ほど重くのしかかる消費税増税などとんでもないことです。
(つづく)
【参考】(1)『10問10答 とことんわかる後期高齢者医療制度』(日本共産党中央委員会出版局刊、95円+税)
(2)『月刊憲法運動2007年12月号』(憲法会議刊、381円+税)の「医療と憲法」(全日本民主医療機関連合会副会長・原和人著)より
※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/
政府は、75歳以上を他の世代と区切って「後期高齢者医療制度」をつくる理由として、これらの高齢者が「心身の機能が低下し、入院も増える」ことなどをあげています。しかし、歳をとれば健康を害する場合も多くなることは誰も同じで当然です。「医療費がかかる」といって高齢者を追い出す姿勢は「姥捨て山」と同じ発想だと批判されても仕方ありません。
こうした理不尽な制度改悪を強く求めてきたのは誰かというと、それは財界・大企業です。公的医療保険は、国民(保険料と窓口負担)と事業主(企業の保険料)と公費(国と地方)で運営されていますが、特に財界は「企業の税・保険料負担を減らすため、社会保障給付費を切り縮めよ」と政府に迫り、①高齢者医療を現役世代から分離すること、②高齢者の医療費負担を抜本的に増やすこと、③診療報酬を「包括払い」にかえ、保険給付を制限すること--などを要求していました。2020年頃には大量に退職した団塊世代が75歳以上になる頃です。そうなっても国の財政負担と大企業の保険料負担が増えない仕組みを今のうちから作っておこうというのが、政府と財界の狙いなのです。
政府・財界は「社会保障給付費を抑制しないと、財界や経済が大変なことになる」と言って医療・介護・年金・福祉など社会保障のあらゆる分野で、国民に負担増と給付削減を押しつけてきました。「後期高齢者医療制度」もその一環です。
「財政難だから仕方がない」--本当にそうでしょうか。日本の社会保障給付費はGDP(国内総生産)の17.4%と、イギリス(22.4%)、フランス(28.5%)、ドイツ(28.8%)と比較しても大きく立ち遅れた状況であり、日本の経済全体から見れば、社会保障を充実させていく力は十分にあるわけです。
日本企業の税・保険料負担は、これらヨーロッパ諸国の6~7割に過ぎません。自公政権が推し進めてきた大企業の法人税の大幅軽減や所得税の最高税率の引き下げ、株取得への優遇税制など、大企業への減税をあらため、10年前の水準に戻せば、7兆円の財源が生まれ、さらに聖域としている軍事費や大型公共事業へのムダ遣いをあらためれば財源は十分あると言われています。
また逆に、社会保障を充実させることによって、雇用も増やせられれば、経済の安定成長も図られるでしょう。
政府は、こうした将来的な財源確保のために、福祉目的税として「消費税」の大増税を企んでいますが、低所得者ほど重くのしかかる消費税増税などとんでもないことです。
(つづく)
【参考】(1)『10問10答 とことんわかる後期高齢者医療制度』(日本共産党中央委員会出版局刊、95円+税)
(2)『月刊憲法運動2007年12月号』(憲法会議刊、381円+税)の「医療と憲法」(全日本民主医療機関連合会副会長・原和人著)より
※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
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http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/