日本の労働組合の代表的組織「連合」が昨日幹部会合を開き、来春闘に向けての本格的な議論を開始したとのことです。
労使が共に積極的な賃上げが必要という事で、意見が一致した今年の春闘のあとを受けて、継続的な賃上げが必要という声が強い中での来春闘です。
これから年末にかけて、労使の来春闘に向けての賃金引き上げを中心にした本格論議が進められ、年末には労使ともに方針の決定を見、年が明ければ、連合、経団連が共に報告書を出して、春闘の旗開きとなるのでしょう。
欧米の賃上げ要求は、労使協定が切れる時期に、産業別にバラバラなのが普通ですが、日本の場合は、年度替わりの4月の賃金改定を目指して、年1回全国全産業企業一斉という形が戦後定着しています。
本来労使の専管事項である賃金交渉が、政府にとっても経済政策に関わる重要な問題との認識が強く、経済政策の一環のように考えて発言したりします。
ご承知のように、昨年は連合が定期昇給+賃上げ要求として「5%以上」という目標を決め、交渉の結果は3.56%獲得で、前年比1.44ポイント増でした。
マスコミでは33年ぶりの高さなどと評価されましたが、生活者目線、家庭の主婦の感覚ではこれで25か月続いた実質賃金前年比低下プラスになるのかしら?というのが正直なところだったのではないでしょうか。
このブログでは長い間、物価と賃金の動きを毎月追ってきているのですが、それでは連合も経団連も、それなりに頑張った2024年春闘の「結果は如何に」と見ますと、6月はボーナスが増えたお蔭で実質賃金はプラスに転じましたが、7月は、統計の中のどの数字を採るかで答えが違うという判定の難しい状態です。
このブログでは諸種の事情を考慮して、今後は実質賃金プラスの方に判定できそうとしていますが、来週発表の毎月勤労統計が、最新の情報を提供してくれるでしょう。
こう見てきますと、連合もそれなりの満足感を示した2024年春闘の結果も、現実の生活者か見れば、これで良かったと言い切れるものではなさそうです。
多分、その辺りは連合も感じている所でしょう。しかし日本の労働組合は欧米の労働組合に比べると驚くほど合理的な意識構造を持っています。
嘗ては日本の労働組合も、「要求は高い方がいい」といった「立場の理論」で要求を組んだのですが、今の連合は、日本経済の健全な成長と両立する賃上げといった、立場を超えた客観的合理性を重視するようです。
一方経営側は、欧米並みの考え方が強く、要求通り出す必要はないだろうと要求-Xの考え方ですから、どうしても結果下は低めになります。こうして長い間、低賃金・消費不振の日本経済が続いて来たのです。
今年の春闘に至り、経営側も余裕の中で好況企業では満額回答もかなり見られました。
来春闘では恐らく連合も少し要求基準を変えるかもしれません。受けて立つ経営側では、経団連の十倉会長が「サステイナブル」との発言のようです。個別には7%目標という経営者もあるようですが。労使とも、賃上げについての意識が変わるのでしょうか。このブログも、これからの労使の動きに注目していきたいと思います。