tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカは狂ってしまったのか?

2018年03月03日 10時40分10秒 | 国際経済
アメリカは狂ってしまったのか?
 昨日、突如、トランプ大統領の「鉄鋼輸入に25%の関税、アルミには10%の関税をかけるという方針の発表がありました。

 かつてのトランプさんの、あの「にんまり」した笑顔が復活し、「アメリカが通商面で何10億ドルも失っている時、貿易戦争は役に立つ、勝つのは簡単だ」と経済関係を戦争に例え、貿易戦争も辞さない様子を見せました。

 戦後自由貿易を主導してきたアメリカが、正面切って貿易戦争、関税引き上げを言い出すなど、かつてのアメリカからすれば、考えられない所でしょう。
 アメリカは本当に狂って行ってしまうのでしょうか。

 既に、このトランプ発言には、世界中から反発や懸念の声が上がっていますが、トランプ政権は本当に、関税引き上げで、貿易戦争に勝つのは簡単だと思っているのでしょうか。
 アメリカの軍艦や戦闘機は、外国からの安い鉄鋼、アルミニウムで作られています。アメリカの兵器の製造コストは上がるでしょう。トランプさんは、それでも高いアメリカの兵器を沢山買ってくれる国があると考えているのでしょうか。それはどこでしょうか?

 トランプさんが大統領になった時、トランプさんは 被害者意識の塊だと思いました。恐らく世界最大の経済規模を持ち、覇権国、基軸通貨国であるアメリカが被害者意識の塊になった時、世界経済の正常な回転が阻害されるのではないかと懸念しました。

 被害者意識の原点は、アメリカの貿易赤字です。問題は、外国が悪いのか、赤字改善が出来ないアメリカ自身が悪いのか、その認識の違いでしょう。「赤字は自分の国の努力で直せ」というのがIMFの基本方針でしょう。 アメリカだけが例外なのです。

 もちろんアメリカは「アメリカなりの考え方で」世界の政治・経済の安定に多くのコストをかけています。それも赤字の原因でしょう。 覇権国は余程の経済力がないと赤字になり易いのです。

 だからといって、歴代の日本の幕府の様に、その末期、経済力がなくなった時に起きたような状態が今の覇権国や世界に許されることはないでしょう。
 さらに言えば、経済は経済の法則で動きます。政治でそれを変えようとしても、少し長い目で見れば経済の法則の方が勝つのです。これは歴史が証明しています。

 アメリカがこのまま、狂ってしまわないことを切に願うばかりです。