tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2018年1月の平均消費性向上昇

2018年03月10日 10時56分35秒 | 経済
2018年1月の平均消費性向上昇

 昨日、総務省より2018年1月の家計調査が発表になりました。
 この所、家計調査が発表になると最初に見たくなる数字は、勤労者所帯の「平均消費性向』です。

 平均消費性向というのは、皆様すでによくご承知のことでしょうが、サラリーマンの手取り収入(可処分所得)に占める消費支出の割合です。残りは家計の黒字になりますから、平均消費性向と黒字率の合計は100%になります。
 家計調査は全所帯、2人以上所帯、その中の勤労者所帯などを調べていますが、平均消費性向が取れるのは勤労者所帯だけです。最近、不況の元凶は消費支出が伸びないことと言われ続けてますが、家計が所費を増やす気になったかどうかを知る重要な指標がこれなのです。

 長年の不況と、少子高齢化と年金問題などの先行き不安で、勤労者の消費性向は下がっています。長期不況の前の水準から平均3%ぐらい下がっているのではないでしょうか。これを全家計に拡大すれば、3%は10兆円近くになり、消費性向が昔に戻れば、経済成長率は2%ぐらい高くなります。

 一方で日本の個人貯蓄は世界でもトップクラスの水準で、1800兆円を超えています。日本人は先憂後楽で、勤勉ですから、どうしても貯金の増加を考えますが、今はゼロ金利で貯金しても利息が付かないので、貯金は自動的には増えません。だから収入の中から更に貯金をして貯金を増やすしかありません。結果的に消費が伸びないという事のようです。

 そんなこんなですが、日本経済はこの所順調に動いてきています。家計に似て、企業も貯蓄に励んでいますが、日本の経済力は世界で最も堅実の部類でしょう。何かというと円が買われます。
 そうした日本経済の堅実な動きの中で、家計の方も、少し先行き不安を過剰に心配せず、財布の紐を少し緩めて現在の生活を楽しもうという気になると、経済成長率も高まり、日本経済の回転が一層順調になると考えられますので、「家計調査」の「平均消費性向」に注目しているわけです。

 という事で上のグラフに戻りますと、今年1月の平均消費性向(右端)少し上がりました。昨年1月の85.2より3%ポイント高い88.2%、一昨年1月の87.8%よりも高くなりました。昨年末、財布の紐は閉まっていましたが、1月いくらか緩んだようです。このところ春から夏にかけてなど少し緩む時期もありましたが、昨年は秋になると閉まってしまいました。
 政府のやることはゴタゴタばかりで、国民の将来不安はなかなか消えませんが、少し世の中のムードが変わって、日本人が自分の家計の将来にについて、悲観ばかりでないようになりますと、多分、日本経済の空模様も変わって貯金に金利が付く世の中になってくると思います。

 そんな気持ちで、毎月「平均消費性向」を見ていますが、今年は、北朝鮮情勢に何か少しは良い変化がるのではないかという事もあり、この重要な数字も、いくらか上がって行くのではないかという淡い期待が、現実になるように願っているところです。