tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカにトランプ抑止力はないのか

2018年03月04日 09時52分27秒 | 国際経済
アメリカにトランプ抑止力はないのか
 トランプ大統領の突然の鉄鋼・アルミに、それぞれ25%、10%の関税をかけるという発言について、ロス商務長官が「幅広い構想だ」と述べ、広く適用されることを示唆しました。さらに缶詰でも自動車でも原料としての鉄鋼の部分の金額は小さいものだから、経済への影響は限定的で、懸念は過剰反応だという趣旨の発言をしたようです。

 また、アメリカの鉄鋼輸入国のトップは16%のカナダで、中国からは2%、などという数字も報道され、中国目当ては当たらないという意見もあります。
勿論、アメリカとの友好を目指す国々からも反発や懸念の声は広がっています。
 今回の問題は、数字の問題よりも、世界経済の考える際の理念の問題なのです。

 EUも、アメリカの突然の発表に対し、警告の意味もあるのでしょうか、報復関税も検討するという態度を示し、今度はそれにトランプさんが更なる反応を示し、EUから輸入する自動車に関税をかける可能性に言及しています。自動車になったらまたおおごとでしょう。

 何か言えば言い返すという子供の喧嘩みたいな様相ですが、「口論」の内はまだいいですが、現実の問題になったら、それこそ世界経済に大打撃でしょう。
 折角リーマン・ショックによる世界金融危機から、経済の正常化に向かって動き始めている世界経済を、こんなことで壊したくないのが世界の良識でしょう。

 考えてみれば、リーマンショックで世界経済に大打撃を与えたのもアメリカ発ですが、今回はアメリカ経済が世界最も好調といわれる中での、平地に乱を起こすような事態です。

 戦後、アメリカはアメリカなりに、自由貿易を基調に、世界経済の安定発展をリードしてきました。そのアメリカの健全な良心は、今どこに行っているのでしょうか。
 トランプ大統領を選んでしまったことに、失敗と感じたアメリカ人は多かったようでしたが、民主党、共和党の一部も含めて、 ジャイアンの母ちゃん のように、「たけし!」と耳を引っ張る世論は起こらないのでしょうか。

 アメリカ全体が、トランプ流に堕してしまったと考える人は、未だそんなに多くないと思います。多分、アメリカ社会には、日本ほど「忖度」はないでしょう。
 世界経済社会の安定した発展のために、アメリカの良識が、改めて積極的な活動をしてくれることを願いたいものです。