tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トランプ政権に出来る事・出来ない事

2018年03月06日 11時24分00秒 | 国際関係
トランプ政権に出来る事・出来ない事
 アメリカでは中間選挙が近づいてきて、そのためでしょうか、トランプさんも、ポピュリストとして、より多くの国民が喜びそうなことを発言する傾向が出てきているようです。

 考えてみれば、トランプさんのような思考プロセス、行動様式の人がなぜ大統領になれたのでしょうかと、いう所から問題は始まるようです。

 急速に格差社会化が進むアメリカ社会の中で、恐らくは、覇権国、超大国のアメリカの国民でありながら、生活や仕事、プライドなどで何らかの不満を持つ人が、この所どんどん増えていて、そういう人たちに理屈は兎も角、可能かどうかもさておき、「これが不満でしょう、私なら変えられます」と自信たっぷりに、しかも解り易い言葉で、はっきり言って見せたことがトランプさんの人気形成に大きかったのでしょう。

 その代表的な発言が「アメリカを再び偉大に」であり、「アメリカ・ファースト」であり、背後にあるのが「世界中がアメリカを利用して、当のアメリカは損ばかりしているという被害者としての共通感情を刺激する説明、さらに具体的なことに及べば、職場を奪う移民の制限や、NAFTAによる輸入品の拡大を阻止するための最も解り易い表現としてのメキシコ国境にメキシコ負担で壁を作らせるといった形になるのでしょう。

 今回の鉄鋼、アルミに高関税をかけるというのも、こうしたベースの上に行われた発言の続きという事になるのでしょう。
 しかしこうした発言に論理的な根拠はあまりありませんし、現実的な可能性もあまり期待できないことに結果的になるのではないでしょうか。

 エヴァンジェリストの支持を得ようというのでしょうか、エルサレムへの大使館移転も打ち出されました。TVの報道では大歓迎の様子が映し出されましたが、そのためにアメリカは、対北朝鮮では国連決議を世界中に守れと言い、大使館移転問題では国連決議を無視するという支離滅裂なことになってしまいました。

 前々回、ジャイアン(トランプ)に耳を引っ張って引きずって行く「母ちゃん」いないのか、と書きましたが、トランプ大統領の発言が合理的でなければ、その具体化のプロセスの中で、アメリカとしても不可能(マイナス)なことが分かり(今回の高関税の問題でもそうですが)現実にはそこに行き着けない、ことが多くなりそうです。

 被害者意識を持つ多くの人の耳に心地よいコトバはツイッター容易に出せますが、その実行・実現は、これは容易でないという事が、これからたくさん起きてくるのでしょう。
 そのプロセスで、アメリカの良識が試されるという事でしょうか。