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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

主な法人における残余財産の帰属に関する規律について

2013-02-14 18:36:14 | 法人制度
主な法人における残余財産の帰属に関する規律について
http://www.gyoukaku.go.jp/jimukyoku/koueki-bappon/yushiki/wgdai14/14siryou-s1.pdf

 いささか古い資料であるが,比較対照しやすいので,まずは掲げておく。

 さて,例えば,NPO法人が解散した場合,残余財産については,次の規律となっている。

特定非営利活動促進法
 (残余財産の帰属)
第32条 解散した特定非営利活動法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、定款で定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。
2 定款に残余財産の帰属すべき者に関する規定がないときは、清算人は、所轄庁の認証を得て、その財産を国又は地方公共団体に譲渡することができる。
3 前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

 (清算結了の届出)
第32条の3 清算が結了したときは、清算人は、その旨を所轄庁に届け出なければならない。


 したがって,NPO法人の清算が結了したときは,その旨を所轄庁に届出をし(法第32条の3),その届出の時に,残余財産は,その帰属すべき者に帰属するのである(法第32条第1項)。

 例えば,残余財産が不動産であるときは,次の流れとなるであろう。

(1)清算が結了した旨の所轄庁への届出
(2)残余財産の帰属を原因とした所有権の移転の登記
(3)清算結了の登記

 例えば石川県の学校法人に関するHPでは,「学校法人清算結了届」「学校法人清算結了登記済届」と2段階の届出をすべきとしているが,これが正しいやり方である。
http://www.pref.ishikawa.lg.jp/soumu/tethuzuki/index.html

 しかしながら,各都道府県等のHPを見ると,(1)の届出の際に,(3)の登記完了後の登記事項証明書を添付せよ,と記載しているものが散見される。例えば,京都市のNPO法人に関するHPなどである。
http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000123843.html

 ところが,これを是とすると,(3)→(1)→(2)の順で手続を行うことになり,(2)の登記申請は,理屈としては,「元清算人」が個人の印鑑証明書を添付して行わなければならないことになってしまう。できないわけではないが,所有権移転登記の義務が残存しているにもかかわらず,「清算が結了した」として登記するのは,そもそも背理であろう。

 現実には,事案ごとに適切に処理されているものと思われるが,都道府県と法務局との調整が望まれる。

 もっとも,(1)→(2)→(3)の順で手続を正しく行う場合も,何らかの事情により(2)の手続に予想外の時間を要すると,(3)の登記を2週間以内に申請することができなくなるが,それは甘受せざるを得ないであろう。
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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-12-02 16:05:25
このケースですが、
(1)清算が結了した旨の所轄庁への届出
(2)残余財産の帰属を原因とした所有権の移転の登記
(3)清算結了の登記
(1)は清算結了登記後の謄本をつけないといけませんが、
上記のパターンで先生は不動産の所有権移転登記ができたのでしょうか?

この場合、清算事務が結了していないのに清算結了登記を入れないと不動産登記ができないと思うのですが、この場合には何か取扱いができるものがあるのでしょうか?
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御回答 (内藤卓)
2016-12-03 09:36:21
本文に書いているとおりですが,残余財産として不動産があり登記手続が必要な場合には,

(1)→(2)→(3)と進みます。

(1)の段階では,法人登記は未だで,かつ,「残余財産の帰属の手続を残して清算結了」ということでの届出にならざるを得ませんが。
返信する
Unknown (Unknown)
2016-12-05 10:20:34
ありがとうございます。

管轄庁が清算結了後の登記事項証明書なしで(1)の届出を
受け付けてくれれば上記の通りできるということですね。

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