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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

商業登記における「変更の登記」と「独立の登記」の区分

2021-09-08 11:46:03 | 会社法(改正商法等)
 松井信憲「商業登記ハンドブック(第4版)」(商事法務)132頁に,注記として,商業登記における「変更の登記」と「独立の登記」の区分の説明がされている。

「おおむね,変更の登記とは,設立の登記事項・・・に変更が生じた場合の登記を指し,独立の登記とは,それ以外の登記(設立の登記・・・のような新たに登記記録を起こす場合の登記のほか,支配人の登記,清算人の登記等のように,法915条とは別の根拠により既存の登記記録にする登記を含む。)を指すことが多い。
 この区分は,登記事項の事柄としての本質から定まるものではなく,形式的に何が法911条3項各号に掲げられているかというだけの基準ではあるが,登記実務上は,伝統的に,初めてする支配人の登記や清算人の登記において,登記原因(就任)年月日の記録がなく,登記年月日だけが記録されるという点に,留意する必要がある。」

 株式会社の場合,解散の登記の登記事項については商業登記法第71条第1項に定めがあり,清算人の登記の登記事項については会社法第928条第1項各号に定めがある(清算人及び代表清算人の就任の年月日は,含まれていない。)。


 ところで,先日,ある法人の解散及び清算人の登記を,登記原因(就任)年月日を記載せずに申請したところ,「清算人の就任の年月日を登記する必要がある」という補正コメントが付された。理由は,「記載例がそうなっているから」というだけで明確なものはなかったが,最終的には,当該法人の根拠法に清算人の登記の登記事項に関する定めがあることから,「清算人の就任の年月日」は登記する必要はない,ということで落ち着いた。「独立の登記」という整理でよいということであろう。

 各種法人においては,各々の根拠法において清算人の登記に関する定めがあるのは稀で,清算人については,組合等登記令第2条第4号の「代表権を有する者の氏名、住所及び資格」として登記するものとされている。

 この場合,清算人の登記は,「代表権を有する者の『変更の登記』」(組合等登記令第3条第1項)に該当することになるのであろう。したがって,「清算人の就任の年月日」を登記する,という理屈であろうか。

組合等登記令
第3条 組合等において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。
2・3 【略】

 清算人の登記に関して,このように区分する必要があるのか疑問であるが,登記所なりの論理がある,ということであろうか。
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1 コメント

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違いますよ。 (みうら)
2021-09-20 16:47:02
農村負債整理組合法23の6に清算人の登記規定があるが17条2項3号が代表権を有する者であるので変更登記とされますよ。

23の6は既存の清算人は追加選任登記が申請できないという規定ですから。
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