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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

合同会社が発起人となって株式会社を設立する場合の実質的支配者(補遺)

2018-12-10 11:51:46 | 会社法(改正商法等)
 若干追記しました(平成30年12月11日13:11)。



ほくらoffice(文京公証役場の公証人)
https://www.hokura-office.com/

「発起人合同会社が議決権100%を保有する株式会社を設立するとき,合同会社の議決権50%超を保有する自然人が実質的支配者。それがいなければ設立会社に支配的影響を有する自然人,それもいなければ設立会社の設立時代表取締役が実質的支配者となるのです。」(上掲HP)


 発起人が株式会社である場合の間接保有については,次のとおりである。

※ 直接保有 自然人が発起人となり,出資して株式を保有すること。
※ 間接保有 自然人の支配法人(当該自然人が50%を超える議決権を有する法人)が発起人となり,設立する株式会社に出資して株式を保有すること。

cf. 平成30年12月8日付け「実質的支配者の考え方~発起人が株式会社である場合の間接保有」

 合同会社は,資本多数決法人以外の法人であるので,合同会社が発起人となって株式会社を設立する場合,上記の「間接保有」の理は,当てはまらない。
※【追記1】通常は,「当てはまらない」でよいが,定款の別段の定め(会社法第590条第2項)によって,議決権に関する定めを設け,資本多数決法人と類似の運営をすることができる。この場合には,「合同会社の議決権50%超を保有する社員」があり得ることになり,「間接保有」の理により,当該社員が実質的支配者に該当することになる。なお,この場合であっても,合同会社は,犯収法上の資本多数決法人に該当するわけではなく(犯収法第11条第2項第1号括弧書),あくまで「支配法人」を通じた間接保有を検討するときの「支配法人」(同条第3項第2号)に該当する場合があり得る,ということである。


 ただし,社員の数によって,場合分けをして考えてみると,

(1)合同会社の社員が複数である場合
 合同会社が発起人となって株式会社を設立する場合に,当該合同会社の社員(自然人)が複数であるときは,当該社員が,設立する株式会社の議決権を間接保有することは,上記のとおりあり得ない。
※【追記2】 追記1の例外を除く。

 したがって,この場合の設立する株式会社の実質的支配者については,「出資,融資,取引その他の関係を通じて,当該株式会社の事業活動に支配的な影響力を有する自然人」の存否を判断することとなり,発起人である合同会社の実質的支配者に該当する者がこれに当たる可能性が高いと思われる(もちろん,第三者がこれに当たることもあり得る。)。

cf. 平成30年12月5日付け「合同会社が発起人となって株式会社を設立する場合の実質的支配者」


(2)合同会社の社員が1名である場合
 合同会社が発起人となって株式会社を設立する場合に,当該合同会社の社員(自然人)が1名であるときは・・・逆に,当該社員が,設立する株式会社の議決権を間接保有すると考えないと,合理的でないように思われる。

 したがって,この場合の設立する株式会社の実質的支配者については,発起人である合同会社の社員(自然人)が「設立する株式会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人となるべき者」に当たるものと考えられる。


 いろいろ考える必要があり,難しいですね。
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2 コメント

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Unknown (柴田智行)
2018-12-10 19:04:57
先にコメントした者です。
先生が続けて補遺を投稿してくださったことで,私の疑問に対しても十分お答えを頂けたと思います。ありがとうございます。
先生の先の投稿については私が誤読している部分があったように思いますので,それについてはお詫びいたします。申し訳ございませんでした。
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御回答 (内藤卓)
2018-12-11 13:26:46
上記のとおり,追記しました。

御指摘ありがとうございました。
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