日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ31H3W_R30C17A5000000/
東芝が,6月の定時株主総会で,決算の報告をすることができない旨が報じられている。
とすると,未だ「確定した決算」(法人税法第74条第1項柱書)とならず,税務申告をすることができないのでは,という疑問が生ずる。
法人税法
(確定申告)
第74条 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
一~六 【略】
2・3 【略】
上場企業においては,
「会社法上、会計監査人設置会社の計算書類は、会計監査人の無限定適正意見であること等の要件を満たす場合、株主総会の承認は不要となり、取締役会の承認で確定することができると解されている。
実務上も、そのような考えから、会計監査人の無限定適正意見により、決算が確定したものと看做して、株主総会への報告前に確定申告を行う実務も行われている。」
cf. 経済産業省資料
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kabunushi_soukai/pdf/005_03_02.pdf
また,事業年度を変更する場合,変更後の最初の事業年度は,最長1年6か月とすることが認められている(会社計算規則第71条第2項後段)。
この場合であっても,税務申告については,1年+6か月と区切って申告しなければならない取扱いであり,前半については,株主総会の承認を得ずに申告することになるが,実務上許容されているようである。
裁判例としては,「株主総会又は社員総会の承認を得ていない決算書類に基づく確定申告の有効性」(福岡高裁平成19年6月19日判決)がある。
cf. 鳥飼総合法律事務所
http://www.torikai.gr.jp/tax/3163
「我が国の株式会社や有限会社の大部分を占める中小企業においては,株主総会又は社員総会の承認を得ることなく,代表者や会計担当者等の一部の者のみで決算が組まれ,これに基づいて申告がされているのが実情であり,このような実情の下では,株主総会等の承認を確定申告の要件とすることは実体に即応しないというべきであるから,株主総会等の承認を経ていない決算書類に基づいて確定申告が行われたからといって,その申告が無効となると解するのは相当でない。
したがって,決算がなされていない状態で概算に基づき確定申告がなされた場合,当該確定申告は無効にならざるを得ないが,当該会社が,年度末において,総勘定元帳の各勘定の閉鎖後の残高を基に決算を行って決算書類を作成し,これに基づいて確定申告をした場合は,当該決算書類につき株主総会又は社員総会の承認が得られていなくても,当該確定申告は無効とならず,有効と解すべきである」(上掲福岡高裁判決,「税と経営」平成21年1月21日号(税経)18頁以下)
妥当な判断ですね。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ31H3W_R30C17A5000000/
東芝が,6月の定時株主総会で,決算の報告をすることができない旨が報じられている。
とすると,未だ「確定した決算」(法人税法第74条第1項柱書)とならず,税務申告をすることができないのでは,という疑問が生ずる。
法人税法
(確定申告)
第74条 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
一~六 【略】
2・3 【略】
上場企業においては,
「会社法上、会計監査人設置会社の計算書類は、会計監査人の無限定適正意見であること等の要件を満たす場合、株主総会の承認は不要となり、取締役会の承認で確定することができると解されている。
実務上も、そのような考えから、会計監査人の無限定適正意見により、決算が確定したものと看做して、株主総会への報告前に確定申告を行う実務も行われている。」
cf. 経済産業省資料
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kabunushi_soukai/pdf/005_03_02.pdf
また,事業年度を変更する場合,変更後の最初の事業年度は,最長1年6か月とすることが認められている(会社計算規則第71条第2項後段)。
この場合であっても,税務申告については,1年+6か月と区切って申告しなければならない取扱いであり,前半については,株主総会の承認を得ずに申告することになるが,実務上許容されているようである。
裁判例としては,「株主総会又は社員総会の承認を得ていない決算書類に基づく確定申告の有効性」(福岡高裁平成19年6月19日判決)がある。
cf. 鳥飼総合法律事務所
http://www.torikai.gr.jp/tax/3163
「我が国の株式会社や有限会社の大部分を占める中小企業においては,株主総会又は社員総会の承認を得ることなく,代表者や会計担当者等の一部の者のみで決算が組まれ,これに基づいて申告がされているのが実情であり,このような実情の下では,株主総会等の承認を確定申告の要件とすることは実体に即応しないというべきであるから,株主総会等の承認を経ていない決算書類に基づいて確定申告が行われたからといって,その申告が無効となると解するのは相当でない。
したがって,決算がなされていない状態で概算に基づき確定申告がなされた場合,当該確定申告は無効にならざるを得ないが,当該会社が,年度末において,総勘定元帳の各勘定の閉鎖後の残高を基に決算を行って決算書類を作成し,これに基づいて確定申告をした場合は,当該決算書類につき株主総会又は社員総会の承認が得られていなくても,当該確定申告は無効とならず,有効と解すべきである」(上掲福岡高裁判決,「税と経営」平成21年1月21日号(税経)18頁以下)
妥当な判断ですね。