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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

契約書を代理人として作成すること

2004-09-08 10:18:42 | いろいろ
 9月2日付「資格ないのに示談交渉」に付けていただいたコメントに関してであるが、東京都行政書士会HPの「改正行政書士法と代理権」によれば、

「現在の司法制度改革審議会において、最高裁、法務省、日弁連、日行連等参加の下に、弁護士法七二条の弁護士以外に業として取り扱うことを禁止している法律事務は、「争訟性のある法律事務」に限ると確認されたのである。従って、契約締結代理事務を業として扱うことは、弁護士法違反では無いことが確認されたのである。それを受けて、行政書士法が改正され、契約代理業務が行政書士の法定業務とされたのである。」
「書類を代理人として作成するのであって、書類を代理して作成するのではない。・・・契約代理業務には、争訟性のある法律事務以外のすべての法律事務が含まれているのであるから当然に契約交渉代理も含まれると解さなければならない。」

ということである。

 「書類を代理人として作成する」というのは、署名または記名押印を本人ではなく「代理人の名で」行うことを意味する。この点から、契約締結交渉の代理権まで導き出せるのか、改正法案審議段階において疑問に思ったのであるが、行政書士さんの立場は総じて上記引用箇所のとおりであった。

 また、引用した解説では「争訟性のある・・・以外のすべて」という表現が用いられているが、「争訟性」は「紛争性」とも微妙に異なるより狭い概念であり、したがって代理権の範囲はより幅広く解される余地がある。たとえば、通常の商取引における契約締結交渉の代理権まで認められるとも解されよう。手元にないので参照できないが、兼子仁東京都立大学名誉教授著「行政書士法コンメンタール」(北樹出版)が最近刊行されているので、この辺に関しても詳しい解説があろうと思う。

 一つの資格において法律上「できること」と「できないこと」の判別は非常に悩ましい。



行政書士法第1条ノ3  行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一  (略)
二  前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
三  (略)
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます (法務マン)
2004-09-08 18:53:52
争訟性<紛争性 ということですね。

ただ、和解契約を締結するにせよ、

和解内容を詰めていく中で、接点が

見出せなければ、余計に「モメる」とか、

訴訟に移行するわけでして、争訟性and/or紛争性を内包していない契約はありえない、という考え方も

成り立つかもしれません。



逮捕された事案が、果たして起訴→有罪確定

となるかは、現時点では全く不明ですが、

結果的に弁護士会からの告訴を受けて警察が

動いたとなると、法制度とは別に、実務的には、行政書士の契約代理は、限りなく浸透しにくい、というのが素直な受け止め方かもしれません。



司法書士でも、金融庁GLには「認定司法書士」との明記ですし、実際、消費者金融に電話しても「先生は認定を受けていないので・・・」と言われるというのも耳にします。



であれば、行政書士の「代理権」など、法文上の規定がどうであれ、法改正に至る経緯がどうであれ、推して知るべし、でしょうね。
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ご回答 (内藤卓)
2004-09-08 23:03:28
 再々のコメントありがとうございます。



 契約は、「守るもの」ではなく、「破るもの」であり、「破られるもの」と意識しなければならないと考えます。UFJと住友信託銀行との破談がいい例でしょう。契約書は、契約を破り、破られるのに備えて作成するものということです。



 簡裁訴訟代理関係業務によって司法書士の業務も「紛争解決型」に移行しつつありますが、本来業務である登記業務も今後は益々紛争が生じないように、将来の紛争に備えて、依頼者の権利の保護を図る「紛争予防型」の側面を重視しなければならないように思われます。紛争が生じ、訴訟となったとしても証拠調べ等に耐えうるのか、という視点を常に意識し、業務を行なうように留意しなければならないという意味です。



 しかし、そういった視点から契約書作成を考えたとき、現実問題として、民法、商法のみならず、業法、業界独特の慣習あるいは技術情報等も熟知しなければならず、また、立場が強い方が自己に最大限有利なように起案し、立場が弱い方は可能な限り譲歩を求めるというせめぎ合いの面も強く、きわめて難しい領域のように思います。非常に高いレベルが要求され、生半可なことでは手を出せない、ですね。



 なお、誤解のないように申し添えておきますと、私は、弁護士、司法書士、行政書士という巷間言われるような序列意識は持ちあわせておりません。存在するのは、「信頼できるプロフェッショナル」と「そうでない輩」だと考えています。今後益々職域のボーダーレス化が進展するのでしょうが、理想的な共生が図れないものかと考えております。
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