司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

類型別会社訴訟シリーズ⑤(判例タイムズ)

2005-01-30 12:24:32 | 会社法(改正商法等)
 判例タイムズ1156号(2004年10月15日号)から開始された連載。会社訴訟事件等を取り扱う商事専門部である東京地裁民事第8部の裁判官及び書記官が、実務上の問題点をQ&A方式でまとめたもの。会社訴訟は地裁の専属管轄とされ(商法第88条の準用)、司法書士には代理権はないが、商業登記を扱う上で「問い合せ」を受けることも多く、当然押さえておくべき分野である。

 第5回(1166号)では、「会社の取締役に対する責任追及訴訟」が取上げられている。

(1)違法配当に係る配当金相当額の返還請求
(2)株主権行使に関する財産上の利益供与に係る返還請求
(3)取締役に対する金銭貸付けに係る弁済請求
(4)取締役の利益相反取引に係る損害賠償請求
(5)法令・定款違反に係る損害賠償請求

 本稿を理解するに当たっては、会社法制の現代化における取締役の責任に関する改正点も押えておく必要がある。重要な点としては、従来委員会等設置会社とそれ以外の会社との間で過失責任か無過失責任かという点について差異があったが、改正により原則としてすべて過失責任となる。たとえば、(2)の責任については過失責任とされる。但し、立証責任が転換され、取締役は自己の無過失を立証しない限り、弁済責任を免れることはできない。また、(3)及び(4)の責任((3)は(4)に吸収される。)についても、原則として過失責任とされる。但し、自己のために会社と直接に利益相反取引をした取締役は例外とされ、無過失責任を負う。等々。
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「任意整理・過払訴訟の実務」

2005-01-30 11:33:19 | 消費者問題
芝豊・宮内豊文著「任意整理・過払訴訟の実務」(民事法研究会)
全国青年司法書士協議会編「簡裁消費者訴訟の実務」(民事法研究会)

いずれも簡明だが高水準。多重債務、消費者問題に関わる実務家にとっては、必読であろう。
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