PATEX HUNTER

マルクス経済学の視点で、「パテック・フィリップ」と「ロレックス」の世界を中立的私見で、社会科学的に分析しています。

ロレックスとセイコーの比較についての私見

2020-07-28 | ニュース
先ほど、友人のアベケンから以下の件について、意見をお願いされたので、私見を述べる。

ちなみに、私は学生の頃5千円のセイコーファイブを愛用し、父からグランドセイコーををいただいた。

以後、私のロレヲタぶりは周知のとおりだろう。

以下はロレックスがセイコーよりも劣っているというご意見に対する私見である。

事実:
•セイコー(1881年)はロレックス(1905年)より歴史が古い

→設立の先行が技術の優位とはいえない。これを言えば、現在の産業の源泉企業で社歴の古い会社が常に新しい会社よりも先見しているとはいえない。


•元々ロレックスはイギリス製の安い時計のメーカーだった(スイスの時計産業の多くの人はロレックスを今でも成り上がりのイギリスのブランドだと思っています)

→ロレックスよりも新しく有名な時計メーカーは多く、成り上がりものだとは思っていない。その初期はスイスからムーブメントをイギリスに輸入してイギリスで組み立てていたが、それは最初期の頃までで、イギリスにおける課税増額によって腕時計作りから、スイスで始めるようになった。すべては時計の営業マンだったハンスウィルフドルフ氏の類まれな行動力のたまものだろう。また実際、かのフランクミュラー氏は時計学校の卒業作品にオイスターケースに複雑機構を乗せた腕時計を提出している。


•ロレックスは最新鋭の機械式またはクオーツのムーブメントを開発したことがない

→現在の6桁のムーブメントはビエンヌのロレックス社による設計、製造である。自社一貫よりも分業の方がリスクは小さいが儲けも小さい。かのパテックフィリップ社のノーチラス3700やルクルトムーブメントで、これまたオーデマピゲのロイヤルオークエクストラシン現行15202のムーブメントもルクルトから供給されている。IWCのマーク12もしかり。


•ロレックスはほぼ60年間にわたって同じオイスターのバリエーションをつくっているだけ。彼らにとっての「イノベーション」とはダイアルの色を変えることを指します

→同じオイスターのバリエーション、とはどう言ういみだろうか。ロレヲタの私には4桁、5桁、6桁のオイスターケースは同一視できない。確かに同じモデルなのに様々な文字板でコレクションを増やす傾向はあるが、スカイドゥエラーはあの値段で年次カレンダーの時計をリリースするなんて、イノベーションの極みではないか。またチュードルという廉価版まで作ってくれるという、気の配り様はさすが、創業者の営業職に起因する。


•ロレックスのほとんどの「発明」は実際には他の会社が先んじて開発しています

→カルティエが格子状のケースで防水時計を作っています。しかしながら戦後のロレックス社の防水ケース、デイトジャスト機構、自動巻き機構はロレックス社が広く世間に周知させています。またカルティエとロレックスの防水の考え方は実物をご覧の通りまったく違うものです。


•ロレックスは特別な原材料・素材、技術を使っていません。自分たちで独自の合金を精錬したりはしていません。例えば904Lは実際には排気システムによく使われる産業用の安い合金です。エバーローズもよくあるローズ・ゴールドで商標登録されているだけです

→金やプラチナは十分に特別な原材料です。バセロンにアルミニウムの時計や、他メーカーで銀を時計ケースに使ったものもみられますが、腐食性からあまり使えない素材です。またロレックスのホームページを見てもわかる通り、職人技とオリジナルの自動機械装置によって組み立てられています、これはスペシャルなテクノロジーですね。合金ならかつてトリドールがあり、トリドーラ―は稀少なデイデイターの仲間です。


•2004年まで、彼らの「イン・ハウス」を名乗るものを含むすべてのロレックスのムーブメントは実際には他の会社によって製造されていました(Aegler、Zenith,Valjoux、ETAなど)

→一貫生産なら、これだけの需要はまかなえなかった。現在のロレックス社は一手に引き受けてやっている。ドイツ銀行からの支援を受けながら。前社長のご子息やご令嬢が次期社長になり再びハイニガー家のロレックス社になったところで、さらなる劇的な変化が起こるだろう。


•セイコーは過去300年の時計産業におけるもっとも重要なイノベーションを手掛けました(クオーツ・アナログ・ムーブメント)

→それは言える。がしかし、時計というものをファッションにまで引き上げ、宝石と同等の希少価値まで引き上げたのはスイス時計産業なわけであり、クオーツジャパンからふたたび古典的な機械式時計ブームを牽引した時計メーカーにおけるロレックス社の役割はいわずもがな、である。パテックはが最たるもの。

市場の評価からしてもロレックスとパテックは、ワールドマーケットの華である。
先人から評価され続けて確立している、ブランドというものは一朝一夕には確立はできない。

セイコーの利点はロレックスの時計よりも壊れたり、キズが付いても私たちは大きく落ち込まないところだろう。
液晶画面のモデルは視認性もいい。しかしロレックスに液晶ディスプレイモデルはない。
つくればものすごい反響だろうが、それをやっちゃあ、おしめえよ~、とお思いのことだろう。

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