7月7日(木)
「糖尿病」と病院で診断されてから随分長い歳月が経過している。その間、医者からは幾度となく血糖値コントロールの経口薬の服用を勧められてきていたが、生活習慣をできるだけ改善することで対処したいといつも断ってきていた。
これは渡邉昌「食事と運動で糖尿病を治す」という本を読み、薬を飲まずに「運動」と「食事制限」をきっちり行えば糖尿病を克服できるとする説におおいに納得したところがあったからである。
もっとも、この本の説くとおり厳格に「運動」と「食事制限」を励行できたわけではない。自分なりにできるだけやったという程度のものだった。
そのため、その成果は一進一退、いや振り返ってみればよくなるよりも少しずつだが血糖値やヘモグロビンA1cの数値は上昇傾向にあったのである。
それもそのはず、しっかり頑張って血糖値やヘモグロビンA1cの数値が少しでも良くなると、つい気が緩んで飲酒の習慣が戻ったり、「おやつ」を食べたりしてしまっていたからである。
同書では食事と運動による血糖値コントロールの目標として
「ヘモグロビンA1cを6%台に保てれば、合併症のリスクは平常人とほとんど変わらず、7%台でもリスクが高まるだけ……(同書p61)」
とあったのも甘えさせる原因だった。7%を超えることのなかった私としてはまだまだ余裕があると楽観的に考え、ついついルーズな対応になっていたのである。
最初の頃6%前半で推移していたA1cが、いつの間にか6%後半となっても、まだ甘く考えていた。それが、昨年12月の検査では、一気に7.1%と大台を超えてしまったのである。
この数値に驚き、改めて尿検査の過去のデータをもェックしなおしてみると、こちらの方も気付かぬうちに「異常なし」がいつしか糖+-、+、++となっており、更に最近では蛋白まで+-、+と異常を示すようになっているではないか。
医者から尿から蛋白が出るようになって、このまま放置していたらやがて人工透析するようになるぞ、としっかり脅されてしまった。昨年12月のことである。
そのような段階に至ったからには、もはや薬を飲みたくないなどとはいっていられなくなる。
帰ってインターネットで糖尿病の薬をあれこれチェックしてみた。そして、糖尿病薬の中にこれまでの糖尿病薬とは機序が全く違う副作用の少ない新薬「ジャヌビア」というのが見付かった。
この薬は糖尿病薬の副作用でもっとも気懸りな「低血糖」を引き起こすことがなく、しかも一日1錠の服用で足りるという飲み忘れがない画期的な薬だとある。
医者に相談してこれからこの薬を飲むことにした。
この薬はこれまでの「運動」「食事」によるコントロールをしながら服用すると卓効があるという。一日1錠だから飲み忘れはないし、身体への負担もすくなかろうと、しばらく続けてみることにした。
12月からはじめて7月まで。それがなんと素晴らしい成果をもたらしている。
7月6日の検査結果は、ヘモグロビンA1cは6.4%、尿検査は糖・蛋白に「異常なし」、血糖値(食後4時間)133㎎ 血圧130/80 というかつてなかったような好成績であった。
次表は薬の前にヘモグロビンA1cの血液検査をしてもらった毎月の結果である。
縦軸がヘモグロビンA1cの数値(%)、縦軸が月数である。
4月目(横軸4)の7.1%から飲み始めて以来見事な下降線を描き、6月目(横軸9)の検査では6.4%にとなっている。
これまで血糖値管理の指標として、次のような表が示されている。(日本糖尿病学会)
上段の数値は現在使用されているもので、下段の数値は「新たに使用する国際基準値」だという。
現在使用されている数値については、次のような説明がある。
「正常な人であれば、HbA1c値は 5.8%以下とされています。一方、それ以上の数値ですと、高血糖状態が続いていた、ということになります。この数値が、8%を超えた状態が長く続きますと、色々な合併症を起こすと言われていますので、多くの医療機関では、この数値を下げることに主眼がおかれています。
このHbA1c値は、過去1ヶ月~2ヶ月の、血糖状態を表すので、血糖値よりも正確な血糖状態を教えてくれます。血糖値は、あくまでもその血液検査をした時の血糖状態なんです。」
ところが、下段の数値については
「日本糖尿病学会は5月27日、現行の診断基準を改め、血糖値に加え、HbA1c≧6.5%(JDS値では6.1%)を追加した新診断基準を7月1日から施行することを明らかにした。
HbA1c値は、日本糖尿病学会が定め国内で広く使用されているJDS値と、米国を中心に世界的に普及しているNGSP値とでは、算出方法と値が異なる。日本のHbA1cは米国よりも0.4%低値であり、米国糖尿病学会(ADA)と国際糖尿病連合(IDF)、欧州糖尿病学会(EASD)によって設置された国際委員会が勧告しているカットオフ値6.5%は、日本の基準では6.1%になる。」
とあり、なんだかことさら素人に分かり辛い表現で書かれてある。しかし、これを単純に理解すればこれまでの日本のコントロールの数値はこれまで高すぎたから0.4%引き上げたということらしいのだが、その後にも国際基準と違うと国際共同試検や研究で齟齬が生じるからとかなんとかいろいろな説明が付け加えられ、一層素人を混乱させるような内容になっている。
要は、ヘモグロビンA1cについて、コントロール評価の優良可不可の基準となるヘモグロビン数値を0.4%引き上げるということに尽きるのではないか。
そうだとすれば、私の6.4という数値は、あと一歩。6.2未満になれば「優」、つまり糖尿病を克服したということになるのではなかろうか?
<参考> 新診断基準に盛り込まれている「HbA1c 6.5%以上」の6.5%は実は欧米を中心に用いられている測定法で出された“NGSP値相当”だ。しかし、現在日本で使用され、日常臨床での検査結果用紙などに書かれているのは、日本の独自の測定法によって出されたJDS値。JDS値とNGSP値には0.4%差があり、NGSP値の方が0.4%高いため、新診断基準に盛り込まれるHbA1c 6.5%(NGSP値)とは、これまで日本で使われてきたHbA1c(JDS値)として表記すると6.1%になる。
HbA1c(NGSP値)は欧米や中国、韓国など世界的に使用されており、「日本から発表される臨床研究や臨床試験、疫学研究などの結果を見た海外の医師から、同程度の糖尿病患者を対象としていても、『日本では軽症患者を対象としている』『日本人の糖尿病患者は(HbA1c値から見ると)軽症だ』などと指摘されてきた」(日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏)
克服ではなく、血糖値が優の状態に抑えられている状態。糖尿病自体は克服されていません。