2月2日(金)
漢方薬に強く惹かれるようになったのは「芍薬甘草湯」の素晴らしい効能を知ってからである。ウオーキングや畑作業などをやりすぎた夜、俄かに脚が痙攣し激痛が走っり居ても立つてもいられなくなったとき、この薬を飲むとほとんど同時といってもいいほど早く効き目があらわれる。
(最近は加齢による我が体力の衰えからか、以前のような即効というわけにはいかず、効果が表れるまで少し時間がかかるようにはなってきてはいるが……。)
次いで「葛根湯」。鼻水が出たり、くしゃみが続いたりするなど風邪に罹ったかなと思ったらすかさずこれを服用する。この薬も即効性があり、そうした症状はすぐに収まる。
漢方薬というものは西洋医学の薬に比べて効くまでに時間がかかると一般にいわれているが、少なくとも私の体験からは「芍薬甘草湯」「葛根湯」に関する限りその即効性には驚きを禁じ得ない。
ところで、最近になってもう一つ新しい漢方薬の効能が私の長年の悩みを解決してくれている。すくなくとも現時点では……。
これまで長く私の健康上の問題となっていたものの一つに「夜間頻尿」があった。昼間はさほどでないのだが、就寝中に何度も尿意を催してトイレに立たねばならなくなるのである。
そんな症状に悩まされはじめたのはかなり前のこと、80歳を超える頃からだったろうか。病気というほど深刻なものではないが、夜間に何度も起きるのは面倒だし、冬の寒ではできるだけ避けたい。
当初はこれを抑えようといろいろな手段方法を試みてきた。夕方からは水分を控える、眠りをよくする方法、指圧などだが、いずれもはかばかしい効果は得られない。
病院では既にいろいろな薬を飲まされてきているのでそれ以上に薬を飲みたくなかったが、やむをえずこの症状を訴えて薬を処方してもらった。しかし薬を服用してみても治ったかと思えばいつのまにか元に戻つていまい、別の薬に代えてもらうという繰り返しとなった。「ノコギリヤシ」「ハルナール」「ユリーフ」の服用を遍歴したが根本的な治癒に至らなかった。
一時的には効いたようでもやがて駄目になる。いやむしろ以前より回数が増加するような気配すらある。なにしろ歳が歳、半ばあきらめ気味で推移したというの実情であった。
そんなときにネットで漢方薬をいろいろ見ていたら「八味地黄丸」の効能についての記事が目に付いた。
「八味地黄丸」は一般には「高齢者向けの漢方薬」と理解されているとのことで、その適応症に「夜間頻尿」がまずあげられていた。そのほかに適応症としては「糖尿病・高血圧・動脈硬化・前立腺肥大」などもある。
なんと、これらいずれの病気は現在私に付けられた病名でそのための西洋医薬を服用しているもの。(糖尿病には「ジャヌビア」「メトホルミン」、高血圧には「テルミサルタン」、動脈硬化には「ニフェジピン」)
漢方薬に副作用はほとんどないというし、「夜間頻尿」をターゲットとして、これらの病状にも効果が期待される「八味地黄丸」をあわせて飲むのはどうだろうか、これは試みる価値は十分にありそうだ。
ということで、医者に相談してこの漢方薬を処方してもらうことになった。昨年8月22日のことである。
その日の糖尿病にからむ私の検査結果は次の通りであった。
血糖値HbA1c 7.6%、尿の糖++、蛋白+ 血圧 150/78
そして前夜の頻尿回数は4回、いつものようにオシッコの方向は曲り、その勢いはたらたらといった状態。
漢方薬には、すばやく効く「瀉剤(しゃざい)」とゆっくり効く「補剤」があるとかで、「芍薬甘草湯・葛根湯」は「瀉剤」だが、「八味地黄丸」は「補剤」の属するとのことで、効果が出るまでには数週から数か月はかかるという。
ちょっと気の長い話だが、なにしろこれまでの病気(といっても特別の自覚症状があるわけではないのだが)にも有効だとするなら頑張って飲み続けることにした。
効果らしきものを最初に意識したのは一か月ほど経ってからだったか。トイレに立つ回数が少し減ったように思え、オシッコの勢いも増し真っすぐに飛ぶようになってきた。これはいける!将来に希望を持って服用をつづけることになった。
そのうちトイレの回数は1回か2回にまでになった。
また、これとは別に驚くべき変化があった。糖尿病のメルクマールになっているHbA1cの値の変化である。
10月10日(服用開始から49日後)には7.6%から7.1%に、12月5日(105日後)には7.0%、そしてなんと今回の1月18日(149日後)の検査では HbA1cが6.5%、尿検査も糖+-、蛋白+-、血圧も144/78と悪くはない。今から十数年前の数値に戻っていたのである。
この状態がこれからも保持できれば、このまま副作用がなく身体にやさしい漢方薬「八味地黄丸」を飲み続け、様子をみながら西洋医薬を少しずつ減らしていけるかもしれない。
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