京町屋中京区の続き、第15回です。
上村松園家
京都を彩る建造物認定番号第9号
女性初の文化勲章受賞者である日本画家の上村松園(1875~1949)が大正3年(1914)に建築したものです。
上村松篁(1902~2001)も制作活動をした日本画家の住宅で、大正期らしい様相を残しています。
意匠,技術,材料共に優れた規模の大きい大塀造りの町家です。
姉小路高倉二軒長屋
京都を彩る建造物選定番号第6-027号
中京区
木造総二階の二軒長屋です。
出格子,尾垂れが特徴的で,共にかかる簾も含め,往時の景観を伝えています。
1戸は飲食店として使用されており,誰でも町家を感じられる建物となっています。
福井畳店
京都を彩る建造物選定番号第4-025号
創業100年以上の老舗の畳店です。
木造2階建て平入りの建物で,表通りに面した1階の土間が作業場となっています。
店主の手作り作業が見られ、高倉通りの風情となっています。
西村家
京都を彩る建造物選定番号第4-028号
9年前に大正期の町家を現在の住環境に適した町家として改修されました。
外観は古材を活用するなど町家の雰囲気を残しつつ,内部は,耐震,バリアフリー,断熱対策をしています。
不明
上田竹材店
不明
革島医院
国登録有形文化財
建築 1936,昭和11年の洋館です。
中京区麩屋町通り六角下ルの個人医院です。
ロ字形平面を基本とした木造3階建でフランス瓦を使用。北西端に円錐形屋根を架したタイル張の円筒形塔屋,正面南寄りには格子窓を垂直方向に連ね妻をハーフティンバーとした階段室を張出すなど独特の外観です。
蔦に覆われているトンガリ屋根の建物です。
町屋ではありませんが、麩屋町通の景観に大きな役割を果たしています。
日本聖公会京都聖三一教会 (1930,昭和5年)
国登録有形文化財
中京区 聚楽廻中町
信徒の画家、園部秀治がデザインし、米人宣教師建築家バーガミニーが実施設計。
基礎を煉瓦、階下を縦板貼りとした和風真壁造的なハーフティンバースタイルの教会建築です。
礼拝堂は幾何学的曲線を用いた軽快なトラス小屋組を持っています。
階下が幼稚園、階上が礼拝堂です。
町屋ではなく、教会建築です。
京町屋外観の特徴
屋根一階庇の最前列は一文字瓦葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。
ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。
駒寄
家と道との境界に巡らされた格子の垣。元は牛馬をつなぐためのものでした。
意匠もさまざま、栗や欅などの硬い木が使われることもあります。
鍾馗
厄除けの瓦人形は京町屋の屋根の象徴です。
各種建造物指定の説明
国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。
景観重要建造物
平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。
歴史的意匠建造物
歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。
歴史的風致形成建造物
平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。
京都を彩る建物
京都市内には京都の歴史や文化を象徴する建物が,所有者のたゆまぬ努力により,世代を越えて継承されています。
しかし,その存在と魅力が十分に伝わっていないものや,維持・継承が危ぶまれているものもあります。
そこで,京都の財産として残したい建物や市民から募集し,市民ぐるみで残そうという気運を高め,様々な活用を進めることなどにより,維持・継承を図ろうというものです。
京都を彩る建物は市民から推薦を受け、審査委員会で選定された建造物です。
京都市内で世代を越えて継承され,京都の歴史や文化を象徴し、概ね50年以上の建造物(国又は地方公共団体が所有しているものは除く)です。