京町屋中京区の続き、第10回です。
玉の湯
京都を彩る建造物選定番号第5-007号
中京区
明治期に建てられた,市民に広く愛される歴史ある銭湯です。
正面玄関のタイル張りの部分の奥には当時からの町家の部分が残っています。
亀屋廣保
お茶席に欠かせない干菓子を専門に手がける和菓子店。時季ごとに、祭事や風物詩を取り入れた季節感溢れる干菓子を提供しています。
松見
不明
大藤
千枚漬け本家 慶応元年創業と紹介しています。
藤井絞り
京都を彩る建造物認定番号第41号
中京区 無名舎(吉田家)の南隣り 新町通六角下ル(北観音山)
生業は大正4年創業,京鹿の子絞の技術を受け継いでいます。
主屋は1933年・昭和8年に手を入れられた記録が残る木造2階建て,切妻瓦葺の表屋造です。
新町通に面する外観は1階が3枚引きの大戸とその北側に腰壁モルタルの上部木製格子,2階は木製枠のガラス窓です。
内部は生業のために改修が行われ,現在も仕事場や展示スペースとして使われています。
主屋と土蔵の間の中庭には石灯籠,木製灯籠,袖垣,つくばいなどがほどよく配置され,座敷から景色を楽しめます。
呉服問屋が多く,表屋造の町家が残る通りの景観を形成している建物です。
祇園祭の後祭で屏風祭でよく知られています。
旧家邊徳時計店
町屋建造物ではないですが、三条通に面した近代京都の建築物として外せないので紹介します。
国登録有形文化財、京都を彩る建物認定第113号
建築 明治/1890 煉瓦造2階建、瓦葺、建築面積107㎡
中京区三条通富小路東入中之町
家邊徳時計店は明治4年(1871)の創業で,当時は町家建築の屋根に時計塔を載せた店舗でした。
現在の建物は明治23年(1890)に建築された建物です。
建築当時は3階建で,時計塔が載っていたが,戦後老朽化のため3階以上の部分が撤去され,現在は2階建になっています。
煉瓦造の店舗の奥には木造2階建の居住棟があり,全体として表屋造町家の構成をとっています。
店舗棟は赤煉瓦の壁体を外観にあらわし,花崗岩でコーナーストーンを施しています。
1階上部には3連アーチを設けるも,受ける柱が無いなど西洋建築としては不自然な意匠です。
1階内部は正面奥に階段を配して,右手に金庫室を設けています。
金庫室の扉には,明治の画家・田村宗立(1846~1918)による油彩画が残り美術史的にも貴重です。
明治20年代の煉瓦造による商業建築は全国的にも現存事例が極めて稀で,京都の近代化の過程を伝える上でも重要な建物です。
先斗町歌舞練場
これも京町屋ではないですが、京都の花街に一つ先斗町の歌舞練場も外せない建築物として紹介します。
京都を彩る建物認定第27号
中京区
昭和2年(1927)3月竣工。
花街先斗町で中心的な役割を果たし,鴨川をどり・水明会が開催され,現在もなお三条大橋袂の景色をなしています。
建築当初の形態を大きく変えることなく,舞台・観覧場では京都の年中行事である鴨川をどり,欄間等に当初の意匠が残る座敷では芸妓・舞妓の稽古等で,現在も使用されています。
鉄筋コンクリート四階建の壁面は,鴨川からの眺望を意識してデザインされ,全面にスクラッチタイルを貼り,陶板・テラコッタ等の装飾をつけた美しい外観は,先斗町のランドマークとなっています。
外観の特徴
屋根一階庇の最前列は一文字瓦葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。
ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。
駒寄
家と道との境界に巡らされた格子の垣。元は牛馬をつなぐためのものでした。
意匠もさまざま、栗や欅などの硬い木が使われることもあります。
鍾馗
厄除けの瓦人形は京町屋の屋根の象徴です。
各種建造物指定の説明
国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。
京都を彩る建物
京都市内には京都の歴史や文化を象徴する建物が,所有者のたゆまぬ努力により,世代を越えて継承されています。
しかし,その存在と魅力が十分に伝わっていないものや,維持・継承が危ぶまれているものもあります。
そこで,京都の財産として残したい建物や市民から募集し,市民ぐるみで残そうという気運を高め,様々な活用を進めることなどにより,維持・継承を図ろうというものです。
京都を彩る建物は市民から推薦を受け、審査委員会で選定された建造物です。
京都市内で世代を越えて継承され,京都の歴史や文化を象徴し、概ね50年以上の建造物(国又は地方公共団体が所有しているものは除く)です。