国立国際美術館(大阪)で『クラーナハ展―500年後の誘惑』が開催中(1/28ー4/16)です。
私と妻は一昨日の日曜日に行ってきました。
日曜日は混雑すると思っていたのですが、開館時間は思いのほか少なくゆっくり作品観賞できました。
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クラーナハを知らない方もおられると思いますが、教科書で一度は目にした作品の作者です。
ドイツ宗教改革の指導者マルティン・ルターを描いた作品です。
クラーナハ(1472-1553)はヴィッテンベルクの宮廷画家として名を馳せた、ドイツ・ルネサンスを代表する芸術家です。
芸術家の一方、マルティン・ルターにはじまる宗教改革にもきわめて深く関与しました。
クラーナハを有名にしたのは物語上のヒロインを、特異なエロティシズムで描きだした作品です。
これらの女性像は当時の鑑賞者だけでなく、遠く後世の人々をも強く魅了してきました。
日本初のクラーナハ展となる今回の展示会は、1517年に開始された宗教改革からちょうど500年を数える年に開催されます。
16世紀、謎めいたヌードを描き続けたルカス・クラーナハ(1472~1553)。
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「ヴィーナス」 1532年
良く知られている作品です。
闇に輝く白い肌の若い女性、異様な雰囲気が漂います。
実に生々しいヴィーナスです。私がよく目にしてきたボッテッチェリやテイツアーノとは大きな違いです。
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クラーナハはドイツの首都ベルリンの南西のヴィッテンベルクの地で画家として活躍しました。
30代で宮廷画家になった頃の作品です
「聖カタリナの殉教」 1508/09頃
力強いタッチの作品です。
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クラーナハが生きた時代はヨーロッパ中が宗教改革の混乱のただなかにありました。
その中心人物がマルティン・ルターです。
16世紀ローマヴァティカン サン・ピエトロ大聖堂の大改築にあたり、莫大な資金捻出のために『免罪符』を発行しました。
これを買えば犯した罪が免除されるというもので、ドイツで大々的に売り出されます。
これに猛然と異を唱えたのがマルティン・ルターです。
このことで血みどろの戦いが起こり、ヨーロッパ中に広がり、実に100年以上続いたのです。
「マルティン・ルターとカタリナ・フォン・ボラ」 1529年
クラーナハは二人の結婚の立ち会いもするなど密接な関係にあり、ルターの肖像画を何枚も描いています。
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「マルテイン・ルター」 1525年
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一方クラーナハはルターと対立するカトリック教会からも絵画の注文を受けていました。
「聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ」 1537年以降
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しかし宗教画や彫刻を不要なものとする偶像破壊運動が起こり、クラーナハへの絵画の注文は減ります。
そんななか活路を見出だしたのが裸体です。
当時はイタリアにはボッテッチェリの「ヴィーナスの誕生」などの裸体絵画はありましたが、ドイツにははありませんでした。
クラーナハは神話をモチーフにした裸体を次々描きます。
「ヴィーナスと蜜蜂泥棒のキューピッド」 1508/09頃
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「アダムとイヴ(堕罪)」 1537年
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「正義の寓意(ユステイテイア)」 1537年
神話に登場する正義の女神です。
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「ルクレテイア」 1510/13頃
ルクレテイアは古代ローマの女性で人妻でしたが、王子に凌辱されて夫に全てを話し、自殺する貞女です。
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「ルクレテイア」 1529年
もうひとつのルクレテイアの作品です。
上の作品とは全く違う表現です。
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「ルクレテイア」 1532年
これもルクレテイアの作品です。
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「不釣り合いなカップル」 1530/1540年頃
指輪を送る歯の欠けた老人、若い女性に心を奪われているようです。
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「ホロフェルネスの首を持つユデイト」 1525/1530年頃
旧約聖書に登場した敵将を倒した女性の英雄です。
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クラーナハ展―500年後の誘惑は国立西洋美術館(東京上野)からの巡回です。
会場は撮影禁止です。画像は日曜美術館で紹介されたものです。