京町屋中京区の続き、第14回です。
奇竹堂
歴史的意匠建造物
奇竹堂は千家十職の一つで、竹細工・柄杓師である黒田家の分家として、竹細工の製造販売に携わっています。
現在当代の四代黒田宗傳の工房です。
大江能楽堂
京都を彩る建造物認定番号第40号
大江家は観世流能楽師の家柄で,当主は又三郎七世を継ぎます。
能楽堂は又三郎五世により,明治41に建てられました。
昭和20年に建物疎開により楽屋や住居部分が取り壊されましたが,舞台のみが終戦により解体を免れた経緯を持っています。
その舞台で戦後の混乱期に早々に公演を行ない,以来休むことなく定期能を開催,能楽の継承,普及に貢献しています。
細い廊下を進み小さな入口から見所に入ると,そこには切妻屋根の能舞台と2階建の見所が矩形に設けられ,外光が入るが明る過ぎない大空間が広がっています。
独立した木造の能楽堂が建てられた当初の風情を今に伝えるとともに,能と言う伝統芸能を支えてきた建物として貴重です。
百芳軒
京都を彩る建造物選定番号第3-050号
明治初期に蚕糸問屋として建てられた典型的な京町家スタイルを残しています。
マンション開発が進む立地にある中,京町家の意匠を後世に残すだけでなく,地域コミュニティ活性化の拠点として開放されています。
ギャラリー、フリースペース、イベントなどに催し会場として貸しています。
小林舞踊衣裳店
古典舞踊や素踊りなどの日本舞踊に用いる衣装の制作および販売を手掛けています。
がんこ高瀬川二条苑
京都を彩る建造物認定番号第10号
山縣有朋が南禅寺畔に無鄰庵を造営する前に営んだ別荘として多くの人に親しまれています。
歴代の所有者によって改変・整備され,その過程で植治も関わっているが,みそそぎ川から流入して高瀬川へ向かう豊富な水の流れに当時の面影が残されています。
旧本田商店(魏飯夷堂)
京都を彩る建造物選定番号第6-009号
江戸時代創業の西京白味噌の老舗本田味噌の三条店舗でした。
明治20年頃(1887)の建築で,元は醤油醸造を営む店でしたが、数年前に中華料理店として再生されました。
内部も当時の町家の面影が残されています。
京町屋と中国提灯とは違和感がありなすが。
京町屋外観の特徴
屋根一階庇の最前列は一文字瓦葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。
ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。
駒寄
家と道との境界に巡らされた格子の垣。元は牛馬をつなぐためのものでした。
意匠もさまざま、栗や欅などの硬い木が使われることもあります。
鍾馗
厄除けの瓦人形は京町屋の屋根の象徴です。
各種建造物指定の説明
国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。
景観重要建造物
平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。
歴史的意匠建造物
歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。
歴史的風致形成建造物
平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。
京都を彩る建物
京都市内には京都の歴史や文化を象徴する建物が,所有者のたゆまぬ努力により,世代を越えて継承されています。
しかし,その存在と魅力が十分に伝わっていないものや,維持・継承が危ぶまれているものもあります。
そこで,京都の財産として残したい建物や市民から募集し,市民ぐるみで残そうという気運を高め,様々な活用を進めることなどにより,維持・継承を図ろうというものです。
京都を彩る建物は市民から推薦を受け、審査委員会で選定された建造物です。
京都市内で世代を越えて継承され,京都の歴史や文化を象徴し、概ね50年以上の建造物(国又は地方公共団体が所有しているものは除く)です。