南米パラグアイの大豆単収の年次推移(30年間)を図に示した。30年前、パラグアイの大豆全国平均収量は1,500~2,000kg/haであった。その後、不耕起栽培が導入され定着すると、収量は2,500~3,000へ一気に増加する。この要因は、不耕起栽培によって適期播種が可能になったことによる。従来の耕起栽培では、耕起作業に1行程の作業が必要であるが、降雨が多いと農作業のトラクタが畑に入れない、逆に降雨がないと土壌水分が蒸発し大豆の発芽が劣るなど支障があり、大規模経営では播種期が遅れることが常態化していた。不耕起栽培によって播種期間が短縮され、適期播種が可能になったのである。
図によると、その後GMO栽培の開始により平均収量の低下が見られるが、これはパラグアイに適応する品種がなかったことによる。政府がGMO大豆の栽培を認可しないうちに、アルゼンチンからGMO品種が闇輸入され南部地域から栽培が広まった。緯度が高いアルゼンチンの品種が栽培されたため、パラグアイでは早生に過ぎる、適応性が調べられていない等の結果、当初の栽培は失敗例が多かった。またこの頃、大豆さび病(アジア型)の発生がパラグアイで確認され、この被害拡大も低収要因となった。
GMO品種が定着するにつれ品種の適応性が次第に明らかにあり、収量水準は持ちなおすが、その後3年連続の干ばつが襲来し、特に早生のGMO品種は大打撃を受けることになる。
パラグアイ政府がGMO品種を認可すると、品種の適応性試験が正式な形で実施され、また種苗会社もパラグアイ向けの品種育成に力を入れ、品種の能力は向上している。
図の下段には、日本が実施した技術協力の課題名を示した。不耕起栽培の導入、さび病やシスト線虫抵抗性品種の開発など、日本のプロジェクトは大きな貢献をした。なお、F/Uはフォローアップ、FENIXはフェニックスプロジェクトの略。
Fátima Krug