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恵庭の教会-4,その他の教会(キリスト教系の新宗教)

2015-04-20 15:16:35 | 恵庭散歩<記念碑・野外彫像・神社仏閣・歴史>

恵庭散歩-「キリスト教会」の章

恵庭の街を歩いていると,その他にもキリスト教系の伝道施設と思われる建物を見掛ける。JR恵庭駅の近くでは「末日聖徒イエス・キリスト教会」(通称モルモン教)を,北柏木町では「エホバの証人(ものみの塔聖書冊子教会)の王国会館」を見た。

因みに,この二つの教派と「世界基督教統一神霊教会」(通称統一教会)は,プロテスタント系教派の大多数によって,異端(亜流)と宣言されている(ものみの塔聖書冊子教会は,自らキリスト教世界に属していないと表明しているようだが)。

しかし,「異端」の定義は幅が広い。「異端」とは「正統」に対峙する用語なので,既成宗派から見れば新宗教はいずれも異端と言えなくもない。一般には,本流を自認する側が,異なる教義の宗派を指して言う。キリスト教の場合は,「聖書の他にも経典を有する」「キリスト以外を主と仰ぐ」等が,異端と位置づける大きな要素になっているようだ。歴史的にも異端論争は繰り返されてきたし,伝統教派では異端規定まで定めている。

5.その他の教会

キリスト系の新宗派は多数あり,把握しきれない。ここでは,恵庭で目についた二つを取り上げる。

◇末日聖徒イエス・キリスト教会千歳恵庭支部

恵庭市相生町,JR恵庭駅の西口を出て北西に300m,黄金北に渡る踏切近くにある。屋根の上には十字架でなく尖った塔があり,入り口の壁に「末日聖徒イエス・キリスト教会」とある。俗称「モルモン教」と呼ばれる教派の教会である。白シャツに黒ズボンの若い二人組外国人(専任宣教師)が,伝道に歩く姿をしばしば見かける。伝統的な教派であるカトリック・プロテスタント・正教会からは異端と呼ばれているが(聖書以外にモルモン書を聖典とし,三位一体を否認している),宗教学上はキリスト教の新宗教に分類される。

 

写真は2015年4月撮影

小学館デジタル大辞典によれば,「末日聖徒イエス・キリスト教会は,1830年に米国のジョセフ・スミスが神の啓示を受けたとして創立した傍系的キリスト教の一派。聖書の他に「モルモンの書」をも利用する。初期には一夫多妻主義が主張されたが,1890年に廃止。本部はユタ州ソルトレイクシテイ。第二次世界大戦後,日本でも伝道」とある。

教会の発表では,世界で1,500万人の会員を擁するとある(2010)。十戒の実践,純潔の律法,献金の義務など,人が自ら進んで守るべきものを戒律として定めている。(参照:末日聖徒イエス・キリスト教会HPなど)

◇エホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会)

恵庭市北柏木町で「エホバの証人の王国会館」を見掛けた。道道46号(旧国道36号線)に面する場所である。エホバの証人集会所(エホバの証人の恵庭市文京会衆)として使われている建物だろう。

写真は2015年4月撮影

エホバの証人は,アメリカ合衆国でチャールズ・テイズ・ラッセルらが1870年聖書研究を開始,1884年宗教法人に認可された(1932年にエホバの証人と呼称),キリスト教系宗教団体である(本部はニューヨーク)。日本では神奈川県に支部が置かれ,巡回区,会衆の組織で宣教している。宣教は二人一組で戸別訪問など行う。信徒は世界で820万人,日本で20万人と言われる。

キリストを崇拝対象とせず,旧約聖書の唯一神エホバを崇拝対象とする(神の名はエホバ,イエスは神の子であり,神ではない)。因みに,エホバは「旧約聖書におけるイスラエル民族の神で,天地万物の創造者,宇宙の支配者,人類の救済者で唯一絶対の神」とされる(小学館「デジタル辞典」)。

「神の王国教義」及び「三位一体説の否認」など教義面で正統教義と相容れないため,伝統教派からは異端とされる(自らはキリスト教会に属していないと言う)。宗教学上はキリスト教系の新宗教と分類されるが,兵役拒否,格闘技に参加しない,国旗敬礼や国歌斉唱をしない,輸血拒否など特異な行動様式を有するため,しばしば社会問題となることがある。(参照:ものみの塔聖書冊子協会HPなど)

◇カルト

犯罪行為を起こすような反社会的集団に対してカルト(セクト)と言う言葉が使われるが,この言葉は1990年代アメリカにおいて反社会的主教団体に使用したのが初めとされる。カルト(セクト)とは,崇拝,礼拝を意味するラテン語から派生した言葉で,本来は否定的な意味が無かったと言うが,現在は良い意味に使われていない。

かつて,信者900人の集団自殺事件(1978年),犯罪や洗脳など社会問題になる事件が多発したことを受け,アメリカやヨーロッパではカルト集団に対する議論が深まった。その結果,1995年にはフランスが議会報告書「フランスのセクト」「フランスにおけるセクト教団」「1995年度報告書」を発表,同国内で活動するセクト的傾向の団体を紹介し,社会問題への対処を提案した。更に,1996年にはオーストリアやドイツが,1997年にはベルギー議会調査委員会が監視団体リストを公表するなど動きが広まった。これ等のリスト公表は,カルト集団として認定したのではなく,監視する必要がある団体と言う意味だと言う。リストに宗教団体も含まれることから「信仰の自由」との兼ね合いが論じられたが,人権や法は宗教に優先する場合があるとの価値基準に一歩踏み込んだことになる。カルト集団による人権侵害や犯罪が目に余ることから起きた流れであり,この流れは世界に広がっている(わが国では未だこの動きはない)。

日本に本部を置く宗教団体の中にも,キリスト教・仏教を問わず,フランスやベルギー等の報告書にカルト(セクト)監視団体として名前を挙げられている団体がみられる(参照:Wikipediaなど)。ここでは具体名を挙げないが,カルト監視団体と判断される何らかの理由があったのだろう。

因みに,カルトの特徴は,指導者に対する絶対崇拝と盲信,教義の曖昧さと欺瞞,閉鎖性,金融面や性的利用(強制寄付,強制販売,性支配),人権侵害,未成年者への勧誘,反社会性,暴力性などにあると言う。カルト教信仰から生ずる悲劇は決して発生して欲しくない。

 

恵庭の神社・仏閣・教会を訪ねる「恵庭散歩」は,人間にとって宗教とは何か考える旅でもあった。

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