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恵庭の碑-5,日清・日露戦争の戦没者を祀る供養塔「忠魂碑」

2014-12-09 13:24:37 | 恵庭散歩<記念碑・野外彫像・神社仏閣・歴史>

忠魂碑は,日清戦争(明治27~28年,1894-95)や日露戦争(明治37~38年,1904-05)での戦死者を供養する(英霊を祀る)ために,自治体等が建立した碑である。建設の主体になったのは帝国在郷軍人会(日露戦争前後から各地に組織され,明治43年には陸軍省の指導により全国組織となり,昭和11年には陸海軍省下の公的組織となった。その目的は,予備役や補充兵役の組織化,軍事知識の普及,国家観念の養成を担った)で,その後遺族会などが運営管理を行った。第二次世界大戦後にはGHQの指示で各地の忠魂碑が撤去されたが,恵庭には以下の三碑が残存する。

忠魂碑は,村の「靖国」と呼ばれたことがあるように,戦前の軍国主義と深く係わった経緯があるため多くの議論があるところだ。しかし一方,この地から多数の若者が出征し,祖国を思い,家族を案じつつ異国の地で亡くなったのも歴史の事実である。この人々の犠牲と国民の努力があって,現在の平和と繁栄が成り立っている。

忠魂碑は今や,意見の相違を乗り越え,平和を願う国民の史跡として後世に語り継がれるべきだろう。そんな気持ちで,恵庭の忠魂碑を訪れた。

1.忠魂碑(明治41年9月18日建立,恵庭市島松本町「島松神社」境内)

2.皇軍戦没者招魂供養の碑(昭和9年5月建立,恵庭市大町「大安寺」境内)

3.忠魂碑(昭和14年10月建立,恵庭市上山口「中恵庭公園」内)

 

1.忠魂碑(明治41年9月18日建立,恵庭市島松本町「島松神社」境内)

恵庭市島松本町4丁目,豊受大神を祀る「島松神社」境内(社殿に向かって右側)に,菱型石の忠魂碑が建っている(写真は2014.12.4撮影)。忠魂碑の右肩に彫られた文字は風化して読めない。恵庭市史によると,明治37~38年戦役における記念碑として建設されたとある。上段基石の正面には発起人氏名(岩井與三吉,歩兵勲八等石本正,同旭熊治郎,同小野久作,同原田吟蔵,野砲兵勲八等九谷與三吉),なお,一行開けて野砲兵勲八等三島友吉,海軍兵勲八等杉本福松ら25名の名前が肩書きと共に刻まれている(戦没者氏名なのか?)。横には「明治四十一年九月十八日建之」とある。下段基石には寄付有志人名(原田専松ら112名及び氏子一同)が刻まれている。建設費はこの方々の寄進によるものであろう。

また,忠魂碑を囲む石柱に,「忠魂碑移転改築,昭和九年七月七日」「発起者,恵庭村在郷軍人第三班一同,島松青年団三部生一同」の記述があるので,昭和九年に移築が行われたことが分かる。

 

 

2.皇軍戦没者招魂供養の碑(昭和9年5月建立,恵庭市大町「大安寺」境内)

恵庭市大町町4丁目,曹洞宗永平寺派天瑞山大安寺の境内に,「皇軍戦没者招魂供養の碑」が建っている(写真は2014.12.5撮影)。碑表には,上位に五星,中央に「皇軍戦没者招魂供養の碑」の文字,下端に鎖と錨が刻まれている。第七師団長陸軍中将 佐藤子之助の書である。

基石には,主催者(郷軍第一班,大安寺),後援(柏木青年分団,漁青年分団),建設奉賛会(総裁会長菊池政之,副会長高野俊治,理事林愛助,福田幸雄,会計中村作蔵,ほか委員29名),特別賛助者(林愛助ら15名),賛助者(中村恒三郎ら23名),正会員(福田幸雄ら66名)の氏名が読みとれる。

 

 

3.忠魂碑(昭和14年10月建立,恵庭市上山口「中恵庭公園」内)

恵庭市上山口地区、中恵庭の「川沿大通り」と「漁川」の間に中恵庭公園がある。公園の中央に約6m20cmの威容で忠魂碑は建っている(写真は2014.10.22撮影)。碑の表に忠魂碑(書は近衛文麿),裏面に昭和十四年十月建立と刻まれている。また,337名の戦没者氏名を記した銅板がはめ込まれている。基石には「平成二年七月建之」とあることから,この年に改修が行われたのだろう。

恵庭市史には建設の経緯が記されている。それによると,「本碑は・・・昭和14年5月30日村会において満場一致の議決を以って建設されたもので・・・昭和15年5月28日をもって落成式並びに第一回合祀祭を実施した。・・・北海道帝国大学営繕課大木技手の設計になり,コンクリートを基礎とし,碑石は茨城県稲田産花崗岩貼り付・・・村費及び一般崇敬者の篤志寄付・・・1,000余人に及ぶ多数村民の勤労奉仕・・・境内に植栽された樹木二百数十本は村内各農事組合その他の寄付による。・・・合祀された英霊は218柱に達し,毎年7月8日碑前において遺族参列のもと戦没者追悼式が行われている」とある。現在の戦没者名簿数と異なるが,改修時に追加されたものであろう。

 

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