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判例紹介
土地賃貸借契約において、2回以上賃料の支払いを遅滞したときは無催告解除できる旨の特約がある場合に、借地人が賃料の支払いを2回滞納したことを理由とする無催告解除の意思表示が効力を生じないとされた事例 (東京高裁昭和61年9月17日判決、判例時報1210号54頁以下)
(事案)
XはYに対し、昭和54年12月1日、土地を、期間30年、賃料1か月25万円、毎年5月、11月各末日6か月分前払、Yが賃料の支払いを2回以上遅滞したときは、Xは、何ら催告をしないで、賃貸借契約を解除することができる(無催告解除の特約)の約定で賃貸した。
ところが、Yは、Xに対し、次の通り、賃料を支払い、昭和55年9月分以降の賃料は支払っていない。
(1)、 昭和55年1月
昭和54年12月分から昭和55年5月分までの賃料
(2)、 昭和55年9月
昭和55年6月分、7月分
(3)、 その後
昭和55年8月分
そこで、Xは、昭和54年8月、重度障害である労働者を多数雇用して、印刷、製本の受注、加工、販売等の事業を営むことを目的として設立されたYの取締役 に当初から就任していたことを主張した。
第一審宇都宮地裁は、Xの請求を認め、Yに対し、建物収去と土地明渡の判決を言い渡した。これに対し、Yは右判決を不服として東京高裁に控訴した。
(判決要旨)
右の無催告解除の特約は、賃貸借契約が当事者間の信頼関係を基礎とする継続的債権関係であることにかんがみれば、右の2回以上の賃料の不払いを理由として契約を解除する際、催告をしなくてもあながち不合理とは認められないような事情が存在する場合に限り、その効力を肯定すべきものである。
右のような立場に立って、検討するに、Yの履行遅滞の程度は契約の当初から相当なものであるといわなければならない。しかしながらYが前記の目的を持って設立されたこと、Xが当初からYの取締役であったこと、Yが、助成金の受給資格の申請中、窓口機関から、賃料の前払いは、助成金の先喰いになり、不適当ではないかと指摘を受け、Xにも伝えたことなどを総合すると、本件の場合、催告をしなくてもあながち不合理とは認められないような事情が存在するというには躊躇されるのであって、結局、右解除の意思表示はその効力を生ずるに由ないものといわなければならない。
(短評)
本判決は、一審判決を覆した逆転救済判決であり、本件無催告解除の特約自体が無効とされたものでないことに留意すべきである。
賃貸契約関係において、賃料支払義務は、基本的なものであり、この違反に対しては、裁判所が、当然ながら、厳しい態度を堅持していることを知る必要がある。
(1987.01.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
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