東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 相続開始後の同居相続人の建物継続使用は無償の使用貸借契約が成立する

2008年10月03日 | 借地の諸問題

 (問) 5年前に同居していた父が亡くなり、末弟の私が家業の酒屋を継いで母を扶養していたが、その母も2年前に亡くなった。2人の兄は家業を継がずに独立し、別に世帯を持っている。遺産分割の話合いのこじれが原因で借地上建物の占有使用は不当利得だから賃料(家賃)相当額分の利得金の支払請求をしてきたが、この支払請求には納得がいかない。


 (答) 相続人の中の誰かが親(被相続人)の遺産である建物に同居して生活していた場合、相続が開始されても、建物にそのまま居住・使用するのが通常である。

 しかし、遺産分割の話合いがこじれ、建物占有者に対する不平・不満を他の相続人が主張する場合、不法行為又は不当利得を原因として賃料相当額の賠償金又は利得金の支払請求をする例が多い。

 即ち複数の相続人がいる場合、自分の持分に相当する範囲を超えて建物全部を占有・使用していることは、建物を使用していない相続人に損害を与えている。それらの共有物の使用は賃料相当額の賠償金又は不当利得である。従って、非同居相続人に賃料相当分を支払えという理窟である。

 父親(被相続人)の死亡によって、突然それまでの建物使用が不当利得だから賃料を支払え、不法占有だとされては納得がいかないのは当然である。

 相談事例に類似した裁判で最高裁が下した判断は次の通りである。
共同相続人の一人が相続開始から、被相続人の許諾を得て遺産の建物で同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と同居の相続人との間で、相続開始後も、遺産分割により建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認」されるとした。

 その上で「被相続人が死亡したときは、この時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継した他の相続人らが貸主となり、同居の相続人を借主とする、建物の使用貸借契約関係が存続することになる」(最高裁平成8年12月17日判決)と判示した。親と同居していた相続人に対する不当利得返還請求は請求理由がないとして非同居相続人の主張を認めなかった。

 そもそも使用貸借は基本的に無償で目的物を使用させるものである。相談者の場合は、判例から無償の使用貸借契約に基づく占有・使用という法律的理由が存在することになる。従って兄達の利得金(賃料・家賃)請求は理由がないから、当然請求されている利得金を支払う義務はない。

 

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