東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 家主が消費税分の増額を借主に請求出来ないとされた事例

2006年09月01日 | 家賃の減額(増額)

 判例紹介

 家主が家賃増額の方法によることなしに消費税3%分の増額を借家人に当然には請求出来ないとされた事例大阪地裁平成2年8月3日第20部判決、判例タイムズ741号165頁以下)

 (事案)
 XはYに対し昭和60年2月20日、本件建物を賃料月額5万円で賃貸していた。Xは右賃料を不相当として昭和63年2月1日より月額15万円を相当として増額請求し、更に平成元年4月1日から消費税法が施行されることになったので、平成元年3月末頃Yに対し3%を付加して支払うよう求めたがYはこれを拒否した。判決は昭和63年2月1日以降平成元年3月31日まで1カ月7万5108円、平成元年4月1日以降は1カ月7万6235円を相当として、その余のXの請求を棄却した。

 (判旨)
 「消費税は事業者に負担を求めるものではなく、事業者の各段階の売上に課税され、最終的には消費者に課税する税金であり、いわば事業者を通じて消費者に課税するものであるから、消費税法が事業者から消費者にその税金の適正な転嫁がなされることを予定にしているということはできるが、同法が消費者に事業者に対する消費税の支払義務を課したものとか、若しくは、事業者に消費者に対する私法上の請求権として転嫁請求権を認めたものとまでは解することが出来ない」。

 「原告が免税者であり、本件建物に消費税を負担した補修費用の出損をした等の事情もないことは弁論の全趣旨から明らかであり、また原告が免税者であるが、その納税義務の免除を受けることなく、消費税を納税するものであること等の特別の事情も認めることはできないので、賃料増額事由としては、消費税法が施行されることにより生じることが当然予想される物価の上昇の点のみを考慮することになるところ、消費税法が施行により物価が消費税相当分だけ上昇するとは政府の見解にもないことで、本件において、諸般の事情を考慮して、消費税の施行による物価上昇を1.5%とみて、前記認定の月額7万5108円の1.5%の1127円(円未満4捨5入)の増額を認めることとする」。

 (寸評)
 判旨には異論がないと思われる。免税業者である家主が消費税の上乗せを請求するのは実質上は家賃の値上げであり、借家法の増額請求権の行使によってなすべきであるという点は、当然のことである。

 問題は、納税義務者である家主の場合においても転嫁請求権を当然に家主に認めないとするこの判決は、消費税の解釈として異論がなく、実質上のトラブルの解決の参考となるので紹介した。

(1992.07.)

 (東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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