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【判例紹介】 貸主から契約解除された転借人は転貸人に家賃の支払を拒否出来る(1)

2006年09月22日 | 譲渡・転貸借

 判例紹介

 賃貸人が賃借人(転貸人)との賃貸借契約解除を理由に建物明渡を求められた場合、転借人は転貸人に対して家賃の支払を拒絶できるとした事例 東京地裁平成6年12月2日判決、判例時報1551号96頁)

 (事実)
 A(建物所有者)、B(賃借人=転貸人)、C(転借人)とする。

 AはBに対し、Bの賃料不払を理由として建物賃貸借契約を解除しBおよびCに対し建物明渡を求めた。
 そこで、CはBに対する建物明渡を求められていることを理由に家賃の支払を拒絶した。
 その後、AはBに対する建物明渡請求事件に勝訴したので、CはBとの間の建物賃貸借契約を解除し、あらためてAとの間で直接建物賃貸借契約を結んだ。そこで、CはBに差し入れていた保証金返還請求権が発生したので、未払家賃と相殺したと主張した。

 (争点)
 本件の争点は、基になる賃貸人から賃借人(転貸人)に対する賃貸借契約解除を理由に転借人に対して明渡請求があった場合、転借人は転貸人に対し、賃料の支払を拒絶できるかである。

 (判決要旨)
 裁判所は、『Aは、本件建物所有権を有するものであり、Cに対して賃借物に対する権利に基づき明渡しを請求できる地位にあるところ、一般に、賃貸人の賃借人に対する目的物を使用収益させる義務には単に目的物を事実上使用可能の状態に置くことだけにとどまらず、その使用によって賃借人が第三者からの不当利得返還請求あるいは不法行為に基づく損害賠償請求を負うことがないようにする義務も含むものと解すべきである。本件においては、CはAから直接賃料の支払請求、その後明渡請求と賃料相当損害金の支払を求められている以上、Aから権利を主張された以降の賃料の支払を拒絶できるものである。なお未払い賃料については、保証金により当然充当されるものであり改めての相殺の意思表示は要するものでない。』と判示した。

 (短評)
最高裁は、賃借人が、所有権など賃借物に対する権利に基づく明渡請求できる第三者から賃借物の明渡を求められた場合には、それ以降の賃料の支払を拒絶できるとしている最高裁昭和50年4月25日判決、判例時報778号62頁)

 賃借人が賃借物を現実に使用収益を継続しているのに賃料の支払拒絶できる理由は、賃借人が真の権利者から不当利得返還請求または損害賠償請求を受ける客観的危険があるからである。
 本件は、バブル崩壊後多発しているケースであり、賃借人がとるべき措置の上で実務上参考になるものである。

(1996.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

 (*)参考 こちらでも東京地裁平成6年12月2日判決を扱っています。

 

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