東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を自ら守るために、
自主的に組織された借地借家人のための組合です。

東京・台東借地借家人組合

借地借家人組合に加入して、
居住と営業する権利を守ろう。

無料電話相談は050-3656-8224(IP電話)
受付は月曜日~金曜日(午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )

 尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 

【判例紹介】 *2筆の借地の一方にのみ登記ある建物がある場合の明渡請求は権利濫用

2006年09月25日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介

 一体として利用されている2筆の借地のうち一方の土地上にのみ借地権者所有の登記されている建物がある場合において両地の買主による他方の土地の明渡請求が権利の濫用に当たるとされた事例最高裁平成9年7月1日判決、判例時報1614号)

 (事案)
 ガソリンスタンド会社を兄弟で設立した。兄が代表取締役で弟が監査役。2筆の土地の所有者は弟で、会社が弟から借地をした。
 会社は、奥の土地(A地)に3階建の事務所建物を建築して、所有権保存登記をしたが、道路側の土地(B)には建物はなく、地下にガソリン貯蔵タンク、地上に給油設備、ポンプ室があった。

 兄弟不仲となり、弟がAB両地とも不動産業者に時価の約10億円で売却してしまった。買取った不動産業者が、会社に土地明渡の要求。
 争いとなった点は、建物がないB地の借地権を土地購入者である不動産業者に対抗できるか、ということであった。

 東京地裁は、A地の借地権対抗力がB地にも及ぶという理由で、借地権者を勝訴させたが、東京高裁は、B地は借地権を対抗できず、買主の明渡請求は権利濫用でもないとして、逆転敗訴。
 本判決は、借地権は対抗できないが不動産業者が明渡を要求することは権利の濫用で許されないと判断した。

 (判決要旨)
 「A地とB地は、ガソリンスタンドであり、社会通念上相互に密接に関連する一体として利用されている。B地を利用できなければガソリンスタンドの営業が不可能になるので借地人はその土地を利用する必要性が強い。反面、買主は、AB地につき格別の利用目的があるわけでない。買主は、AB地が賃貸借ではなく使用貸借であるとの説明を受けて買ったものではある。土地はガソリンスタンドとして利用されていたのであるから、借地人がその土地の明渡に直ちに応じると考えたことは、なお落ち度があった。借地人は、B地上には、給油施設の他・ポンプ室を有していたが、その規模から見て独立の建物と考えず、登記しなかったこともやむを得なかった。買主が、本件土地を時価で買い取ったことを考慮しても、なお本件明渡請求は権利の濫用に当たり許されない。」

 (説明)
 2筆の借地と自宅用に借地して建物の登記をしたが庭部分の借地が別の筆になっていて、建物が存在しないという場合があり得る。この場合、庭部分の借地権は、土地の買主に対抗できないことがこの判決の前提になっている(参考、最高裁昭和44年10月28日判決、判例時報576号)。

 その上で、買主からの明渡請求が権利濫用になるかどうかを問題とした。高裁判決は権利濫用にならないと判断し、本最高裁判決は権利濫用になると判断したように、権利濫用の判断は微妙なものがある。

(1998.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。