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東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 賃料をの支払をしているのに貸主は領収証をくれない、どうしたらいいのか。

2009年07月30日 | 弁済供託

(問) 毎月賃料の支払をしているのに貸主は領収証をくれない。何か問題が起きるのではないかと心配で、何度も領収証の発行を請求したが、この状態が長期間続いている。どうすればいいのか。


(答) 貸主と借主の関係が円滑の場合は、賃料支払を証明する受取証書(領収証)を貸主から貰っていなくても何も問題は発生しないであろう。だが、些細なことが原因でトラブルに発展するケースがある。支払の証拠がないことから、貸主から、得てして賃料不払いという言掛りをつけられる虞がある。

 仮に悪意が無くても、賃料支払に対する受取証書の交付を長期間受けていないと賃料の支払いの継続性が不明確になり、その支払の証明が出来ずに賃料の二重払いのトラブルに巻き込まれる危険がある。

 受取証書は賃料支払の事実を証明するものである。従って、「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる」(民法486条・2017年改正)。
 即ち、借主は賃料を支払った時には、貸主に対して、受領した旨の記載された受取証書を請求する権利がある。

 受取証書というのは、弁済したことの証拠となる文書のことで、その形式はどのようなものでもよい。例えば、持参払の場合は通常「2年用の家賃通帳(領収証)」が用いられる。銀行・コンビニ等の振込みの場合は、同時履行が出来ないので、支払証明のために「振込用紙の控え」に何年何月分の賃料かを記入して保存する。

 民法486条は、支払の有無についてトラブルが生じた場合に備えて、立証を容易にして、賃料の2重払いの危険を避けるために弁済者(支払い者)に認められた権利である。

  また民法533条は「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる」と同時履行の抗弁権を規定している。

 では、賃料の支払いと受取証書交付は同時履行の関係に立つのか。
 判例上は、弁済と受取証書の交付は同時履行の関係にあり、借主は賃料の支払いと引換えに受取証書の交付を請求出来ると解されている(大審院昭16年3月1日判決)、上記判例に基づき、2017年の民法改正で弁済と受取証書の交付は同時履行であると明確に規定された(民法486条)。

 即ち、受取証書の交付と同時引換えでなければ債務の履行を拒むことが出来るのであるから、借主が受取証書交付請求しているのにも拘わらず、貸主が受取証書を交付しない場合は、借主は賃料支払を拒否することが出来る。

 「受領拒絶の態度を改め、以後賃料を提供されればこれを受領する旨を表示する等の受領拒絶を解消する措置を何らとっていない場合のように、受領拒絶の意思が明確と認められる場合には、口頭の提供さえしなくても、債務不履行の責任を負うこともない」【最高裁昭和32年6月5日判決(民集11巻6号915頁)及び最高裁昭和45年8月20日判決(民集24巻9号1243頁)】。

 従って、貸主が以後賃料を提供されれば、受取証書を交付して受領すると明確に表明している場合は別にして、交付しないという意思を撤回する措置を何らとっていない場合は、貸主が受取証書を交付しないという意思が明確であると認められる(民法494条の「受領拒否」に該当する)ので、以後の賃料を提供しなくても、借主が支払わないことに対して、何ら債務不履行の責任を問われることはない。

 だが、借主の安全を考慮すると不払のままにしないで、法務局へ賃料の弁済供託をする方が無難である。

 

東京・台東借地借家人組合

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