東京・台東借地借家人組合1

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無料低額宿泊所「ピンハネ」横行 手元には3万円/粗末な食事/厳しい門限 (産経新聞)

2009年12月04日 | 貧困ビジネス

■「廃人になるような施設」

 ホームレスに住まいを提供して生活保護を受給させ、高額な利用料を「ピンハネ」する悪質な無料低額宿泊所に対し、元入所者が刑事告訴に踏み切るケースが出始めた。千葉市内の無料低額宿泊所の元入所者、水谷正勝さん(62)ら2人は、無断で生活保護費の振込口座を作られ、保護費を天引きされていたことなどが業務上横領罪などにあたるとして、宿泊所を運営するNPO法人と任意団体を千葉県警に告訴した。


 水谷さんらの弁護団の棗(なつめ)一郎弁護士は「生活保護は受給者本人への直接支援が基本。公金を、横から取っている構造自体がおかしい。悪質な施設ほどもうかる仕組みをつくっている」としている。


 埼玉県でも同様の刑事告訴の動きがあるほか、大阪、愛知両府県でも弁護士や司法書士が法的措置に向けた検討を始めた。


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 生活困窮者の弱みにつけ込んだ「貧困ビジネス」の背景には、自立支援センターなどの不足から、自治体がこうした施設をホームレスの受け皿として黙認してきた経緯がある。民主党政権は10月、対策検討チームを設置し、来春にも具体策をまとめる予定だが、議論は始まったばかりだ。


 千葉市内の無料低額宿泊所に約2年間入所していた水谷正勝さんは、経営していた電器店が約20年前に倒産、平成5年に住まいを失った。18年11月、東京・御徒町の路上で中年の2人組に「タダで住めて、お金ももらえる所があるよ」と声を掛けられ、入所を決めた。この2人も入所者であることは後で知った。


 生活保護の申請には宿泊所の所長が同行。受給はスムーズに決まった。しかし生活保護費12万4千円のうち、部屋代や食事代として9万4千円を天引きされ、手元に残るのは3万円。部屋の壁は薄く、風呂は2日に1回。朝食はご飯とみそ汁、昼はレトルト食品が多く、食事も質素だった。


 「仕事を探させないよう、門限も厳しかった。『出ていく』といえば『生活保護もなくなるぞ』と脅された」


 水谷さんは今年4月、民間団体「反貧困ネットワーク」に助けを求めた。ネットワークに支えられ、生活保護を受けながら退所することができた。ホームレスを囲い込み、孤立させて、さらに経済的に追い込んでいく-。ネットワークによると、こうした手口は9年ごろから横行し始めた。


 ホームレスは生活保護が受けにくい。


 ただ、貧困問題に詳しい普門(ふもん)大輔弁護士によると、手続きに精通した支援者などが同行すれば、申請が通ることも珍しくないという。悪質な無料低額宿泊所はそこに目を付け、手続きに詳しい管理者が入所者に生活保護を申請させるのだ。


 生活保護の申請に行った福祉事務所で、無料低額宿泊所を紹介されるホームレスも多い。


 埼玉県川口市内の宿泊所にいた竹内孝行さん(58)もそのケース。


 6年前に体を壊して失職し、福祉事務所に相談したところ、宿泊所を紹介された。「最初は助かったが、飼い殺しにされ、廃人になるような恐ろしい施設」と振り返る。


 ホームレスの自立支援を行うNPO法人「ほっとポット」の代表理事、藤田孝典さん(27)は「社会福祉士らを施設に配置するなど、無料低額宿泊施設の基準を整備する必要がある」と訴えている。


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【用語解説】無料低額宿泊所


 社会福祉法に基づき、生活困窮者を無料または低額で受け入れ、自立できるように支援する施設。自治体に届け出るだけで開設が可能。各自治体が運用の指針を定めているが、法的な拘束力はなく、監視の目が行き届きにくい。

 

 

産経新聞 2009年12月4日

 

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