東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

住まいを人権として保障させ本格的な家賃補助導入へ (東借連新聞)

2011年01月26日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

不況で公営住宅の応募急増
自治体は削減方針

 毎日新聞は「公営住宅、69万人が入居待ち…不況などで急増」(11月17日)と報道した。
 東京では抽選倍率は28倍、神奈川15倍と大都市では軒並高倍率だ。国税庁の調査によると、05年に981万人だった年間給与200万円以下の「低所得者」は、09年には約1099万に増加した。総務省によると、年収200万円未満で公営住宅に入居しているのは約97万世帯で、本来であれば公営住宅の入居階層である民間住宅居住者は340万世帯いるという。

 朝日新聞社が昨年9月~10月に行なった47都道府県と19指定都市に行なった公営住宅の中期的増減方針の調査によると、「公営住宅を削減する」とアンケートに答えた自治体は16府県4市、「増やす」は沖縄県と相模原市のみ、「未定」は北海道、奈良県、仙台市、横浜市。それ以外は28都道府県12市は「現状維持」と回答している。

 「全国の自治体が公営住宅から撤退している背景に、国の公営住宅関連予算の大幅な削減がある。09年度当初予算額は2399億円。10年前から4割減った」(11月28日朝日新聞)と報道している。

市場重視で居住貧困が拡大
 戦後すぐの1951年に制定された当時の公営住宅の立法趣旨では、憲法25条に基づき健康で文化的な生活を営むことできる住宅を国民に保障するための制度として、社会福祉政策の位置づけがされていた。1950年代までは公営住宅など公共賃貸住宅が全住宅の2割近い割合を占めていたが、60年代以降民間の住宅建設が活発になると同時に公共住宅の建設数は必要最低限に抑制され、日本の住宅政策は民間が自力で住宅を建設することを基本とする方向に大きく転換した。

 さらに、90年代以降の市場重視の新自由主義の住宅政策によって、「民でできることは民で」と、民業を圧迫させる公共住宅政策の解体、圧縮の方向に向かい、借家人の居住権を保護する借地借家法も規制緩和され、追い出し自由の定期借家制度が2000年に創設された。しかし、経済の停滞や雇用の悪化によって、市場重視の政策は、市場から占め出された人々に、居住貧困と居住格差をもたらした。

家賃補助創設で住政策転換
 欧米主要国の家賃補助制度の具体例を挙げると、イギリスでは全世帯の17・8%、460万7千世帯、フランスでは614万5千世帯、全世帯の22・8%が家賃補助を受給している。イギリスでは全額国庫負担で2兆6535億円(GDP比1・4%)、フランスでは1兆8847億円で国庫負担分は6256億円で雇用者の負担分も3158億円を占める。日本との違いは、「住まいは人権として保障する」することが法律で定められている。今年こそ日本でも家賃補助制度の本格的導入の年にしたいものだ。

 

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。