東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

中央区日本橋2丁目の大規模な再開発を推進するS不動産が店舗の明渡訴訟 (東京・中央区)

2012年07月19日 | 建物明渡(借家)・立退料

Aさん夫妻は平成9年、渋谷区幡ヶ谷に中華料理店をオープンし、その後の平成14年2月、かねてから念願であった「日本橋」の地に、本店として「日本橋店」をオープンした。

 ところがS不動産は、周辺の土地やビルを買い上げ解体しながら、平成19年9月に「日本橋店」のあるビルと土地を買い上げ、挙げ句に平成20年4月には、老朽化を理由に賃貸借契約を解約するとの申入れをしてきた。

 しかし日本橋店は約2600万円もの費用をかけて改装しており、しかもオープンしてから約5年、まさにこれからという時に解約を申し入れがあり、Aさん夫妻は驚きを隠せなかった。

Aさん夫妻は営業の継続を強く訴えたが、S不動産はAさんの会社を相手に、老朽化のみを理由として、東京地裁に明渡訴訟を提起した。

 ところがさらに驚いたことに、裁判中、再開発計画の存在が判明した(* Aさんが入居しているビルは日本橋2丁目大規模再開発のE街区にある。)。しかも、S不動産は既に周辺土地を買い上げていたので、同計画が予定されていたのは明らかである。Aさん夫妻は、S不動産が低額の立退料ですませようとしていたのではないかと不信感を持った。その後も、S不動産が提示した立退料や東京地裁の立退料鑑定に、再開発利益が反映されることはなかった。

 そこでAさん夫妻は、これまで日本橋店の維持・発展のため費やした実損(前述改装費)は当然のこと、立退によって被る営業損害及び再開発利益、何より「日本橋」というブランド名を失うことのダメージを訴えた。

 しかしAさん夫妻の訴えは無視され、判決では裁判所の鑑定による立退料をそのまま採用された。これは実損すら塡補されていないあまりにも低額なものだった。

 Aさん夫妻の要望はあくまでお金ではなく「日本橋」での営業の継続であり、Aさん夫妻が問いかけているのは、「巨大企業が行う再開発の前に小さな会社の企業努力は無視されてよいのか、立退けと言うなら、日本橋店が被る実損を正当かつ公平に評価せよ」ということである。

 Aさん夫妻は現在、東京高裁に控訴し、日本橋での営業の継続を求め奮闘している。

 

東京借地借家人新聞より

 

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