【問】 借りている土地を買ったという人から直ちに立退けと通告されました。びっくりして地主に問い合わせると、たしかに売ったっとといいます。どうなるのでしょうか。
【答】 ご質問からして建物所有目的で土地を賃借していることを前提に考えます。
あなたが新所有者の主張をのまなければならないかは、あなたの有している借地権が対抗力のあるそれであるかにかかっています。
(一) 借地の場合に対抗力があるとされるためには、借地権の登記がしてあること(民法177条、605条)、または、借地権の登記がないとしても、借地人が借地上の建物を登記していること(借地借家法10条》が必要です。実際上は、借地権の登記をしている例はほとんどなく、借地上にある建物の登記がなされているかどうかで借地権の対抗力の有無が決定されるといって過言でありません。
(1) 建物の登記は「始めてする所有権の登記」いわゆる保存登記(不動産登記法100条)や所有権移転登記がこれにあたることは問題ありません。不動産の表示登記(建物を新築したものは1か月以内に表示の登記の申請をする義務が課せられる。同93条》だけの場合も、新地主に借地権の存在に注意させるという点からみて登記にあたるとされています。
(2) 登記は新所有者が旧所有者から所有権移転登記をする前にしておかなければ対抗力はありません。
(3) 登記はされているものの借地人と建物の登記名義人が異なる場合については注意を要します。子名義の登記では対抗力がないとしていますので、借地人と建物名義人を異にする登記は避けた方が無難でしょう(最高裁判所昭和41年4月27日判決)。
(二) 建物の登記がない場合でも、新所有者が借地権を認めてくれる場合は問題ありませんが、認めないときには新所有者のいうなりに借地権者は出ていかなければならないかといいますと、必ずしもそういうことはありません。最高裁判所も以前は登記がない場合は対抗力なしとして借地人を負かせていましたが、新地主が借地権の存在を知りながら借地人を立退かせることを意図し、借地人が建物の保存登記をしようとしたときに旧地主がこれを妨害したことなど、新地主の所有権を取得する目的が著しく悪いときには登記なくして借地権の対抗力を認めています(最高裁判所昭和38年5月24日判決)。
しかし、いずれにしても借地上に建物を所有している人はきちんと登記しておく心掛けが必要です。
東借連常任弁護団解説
「Q&A あなたの借地借家法」
(東京借地借家人組合連合会編)より
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