東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

契約書を取交わしていないのに違約金を請求される (東京・江戸川区)

2009年04月10日 | 仲介手数料・不動産業者とのトラブル

 江戸川区に住むMさんは、2月7日に東葛西の不動産屋に行き、賃貸物件を紹介された。内金2万円を本日中にと言われ、手持金がなかったので不動産会社の取引主任者の社員が自宅まで来て、事務所に戻り支払った。

 契約もしないのに1週間後に残金21万5450円を振込むよう指示され送金したところ、自宅のポストに契約書と重要事項説明書が届けられた。

 契約の日付がすでに2月14日になっているので不審に思い理由を聞くが社員は困るという。Mさんは重要事項の説明も受けておらず、契約書にもサインしていないので、2月17日にキャンセルした。

 不動産屋から「契約は成立しているので違約金を払え」と言われ、消費者センターの紹介で江東借組に相談に来た。

 組合役員が3月4日にMさんと不動産屋を訪問、不動産会社はMさんを激しく威嚇したが、観念したか2日後に全額を返還してきた。

 

東京借地借家人新聞より

 

 


 

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 賃貸マンションの契約時に支払った申込金

 建物賃貸借契約に係る媒介等の業務の適正化について


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大阪府 住宅まちづくり部 建築振興課HP より


  契約はどの時点で成立するか

 

 さきにも触れましたが、厳密に言うと、契約は双方の合意があれば成立するものであり、契約書がなければ契約は成立しない」という考え方はされていません。

 ですから、実際の取引の場においては、申込者が重要事項説明を受け、入居希望の意思表示として預り金(申込証拠金)を支払い、それを受けた貸主が入居を承諾して、その旨を仲介業者に伝えた時点をもって契約の成立と見なしているケースが大半を占めています。

 

 契約成立までの一般的な流れは、次のようになっています

(1) 貸主が媒介業者に対して、物件の媒介(仲介)の依頼をする。

(2) 媒介業者が一般の借主(消費者)に対して、物件の広告(提示)をする。

(3) 借主が媒介業者に対して、物件の案内(書面による説明以外の情報提供)を求める。

(4) 媒介業者が借主に対して、書面を交付した上での物件の説明(重要事項説明、契約書面の提示など)をする。

(5) 借主が媒介業者に対して、預り金(申込証拠金)を支払う。

(6) 媒介業者が貸主に対して、借主の契約意思の確認を証する書類(入居申込書など)を送付(電話などでの連絡も考えられる)して、貸主の契約意思を確認する。【到達主義】(民法第97条)

〔ここで注意〕
 次の(7)に至らない段階で、借主側から申込の撤回があれば、媒介業者は預り金(申込証拠金)を借主に返金しなければならない。

(7) 貸主が媒介業者に対して、契約意思を伝える(貸す・貸さないの意思表示)。


〔ここで注意〕
 この段階で貸主から契約意思の発信(表示)があると、貸主と借主の双方の意思が一致することになり、契約が成立したとみなされる。そのために、預り金(申込証拠金)は、手付金として処理される。借主が申込意思を撤回する場合、それは「契約の解除」となるため、手付金を放棄しなければならない。この場合、貸主の契約意思は必ずしも借主に到達しなくてもよい。【発信主義】(民法第526条)


(8) 媒介業者が借主に対して、貸主の契約意思を伝達する。


 

(注)本文中に付した赤字強調は東京・台東借地借家人組合

 

東京・台東借地借家人組合

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