土地明渡裁判の被告であるAさんは、墨田区に在住するが、葛飾借地借家人組合員の紹介で入会した。
Aさんは借地権付き建物(木造2階建、借地面積は約13坪)を昭和59年に前賃借人より買受けた。
平成10年頃外壁にサイディングボードを貼り付け、平成13年頃にはベランダをアルミ製に替えるなど躯体変更を伴わない補修改良工事行った。地主はこの工事が無断増改築工事に当たると主張し、平成16年頃更新料として坪15万円を要求してきた。Aさんは組合を通じて法定更新の請求をし、更新料の要求を拒否した。これに対して地主は、更新料の支払拒否は信頼関係の破壊であるとして土地明渡訴訟を提起してきた。
東京地裁は「借地権売買契約時に賃貸借契約の契約書が現存しているかも不明であり、無断増改築禁止特約の内容の明確性に疑問がある。平成10年の外壁工事が平成19年まで問題にされなかった等総合考慮すれば、本件の各工事をもって信頼関係破壊との事由は認められない。改築禁止特約違反を理由とする賃貸借契約の解除には理由がない。また、更新料の支払拒絶は、信頼関係破壊を基礎づける事情とならない」と明確に明渡しを認めない判決を下した(東京地裁平成23年6月29日判決)。
地主は東京地裁判決を不服として東京高裁へ控訴した。
東京高裁は「地主の請求を棄却した原判決は正当であるので、本件控訴は理由がないから棄却する」としてAさんの全面勝利判決が確定した(東京高裁平成23年12月21日判決)。
Aさんは弁護士費用の工面においても難儀している旨も組合は相談を受けていた。今回、弁護士の計らいで法テラスを利用した。費用は毎月分割で返済している。葛飾借地借家人組合でも、法テラス利用は初めての経験である。
東京借地借家人新聞より
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