東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

借地上建物を競売で落札したが、地主から承諾料の支払請求をされた (大阪・淀川区)

2012年08月20日 | 譲渡・転貸借

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災で東京から難を逃れて、同年6月中旬大阪市淀川区の新大阪駅近くのマンスリーマンションに住んでいたAさん親子は、月々支払う家賃が大きな負担となり、平成24年5月大阪地裁が公示した競売物件約12坪の借地上軽量鉄骨建物を100万円で落札。

 ところが、落札直後、地域の名代な大地主の代理人から「落札確定後2か月以内に借地権価格の10%相当額の35万9200円を支払わないと不法占拠となり明け渡しを求める」との内容証明郵便で通知を受け取りました。

 Aさんは、なけなしの持金で競売代金を払い、親子が住めるよう家屋を改修を始めたところに通知を受け、大変ショックを受けました。Aさんは、インターネットで大借連を地主の承諾が必要知り、借地上建物の競売は事前に地主の承諾が必要であることを教えられ、借地権譲渡の非訟手続きを大阪地裁に開始しました。

 Aさんは「放射能の危険から逃れようと、大阪へ来て定住するために雨露がしのげる程度の建物を競落し、住もうとした矢先に、地主から承諾料を支払わなければ明渡せとはひどすぎる。競売物件は裁判所が事前に借地権譲渡の手続きを完了して公示すべきである」と承諾料の資金繰りの見通しもつかず、手続きの不合理性に怒っています。

 

全国借地借家人新聞より


 ここからは東京・台東借地借家人組合。

建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可借地借家法

第20条 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。

 前条第2項から第6項までの規定は、前項の申立てがあった場合に準用する。

 第1項の申立ては、建物の代金を支払った後2月以内に限り、することができる。

民事調停法(昭和26年法律第222号)第19条の規定は、同条に規定する期間内に第1項の申立てをした場合に準用する。

 前各項の規定は、転借地権者から競売又は公売により建物を取得した第三者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第2項において準用する前条第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。

 借地借家法20条は、借地上の建物を競売又は公売によって、建物を取得した者が賃貸人に対し、建物取得に伴って取得した賃借権(借地権)の譲渡の承諾を求めたのに、その承諾が得られなかた場合には、裁判所に賃貸人に代わる許可の裁判を申立てることができる趣旨の規定をしている。

 競売又は公売によって、建物取得に伴う賃借権の移転は、賃貸人の承諾を必要とする(民法612条)。しかし、競売又は公売による建物取得の場合、賃貸人にその賃借権の承諾を得ていない状態である。所謂、賃借権の無断譲渡であるから、その譲渡を賃貸人に主張できない。

 競売等の場合、誰が買受人になるかは予測がつかないから、予め事前に承諾を求めることは不可能である。従って、競売等の買受人は自ら賃貸人の承諾を得るために交渉することになる。この場合に賃貸人に不利になる恐れがないにも拘らず、承諾しないときは裁判所に代諾許可の申立てができる。この場合の許可の申立権者は競売等の買受人であり、従前の借地人には申立権は認められていない。また、許可申立の時期は建物の代金支払い後2か月以内とされている(借地借家法20条3項)。

 なお、裁判実務上、裁判所が許可する場合の財産上の給付(譲渡承諾料)は、概ね借地権価格の10%相当額である。

 

東京・台東借地借家人組合

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