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平成19年2月「築35年の集合住宅が古くなったので2か月後に退去せよ。敷金は返す」と建築業者T社に勧められた家主Mから退去請求があった。
Kさん達は「退去請求には正当事由が無い。予告期間2カ月は借地借家法違反である」と拒否した。T社は「改めて6か月後の退去を請求する・退去費用で交渉したい」と申入れがあった。
同年4月、家主M・T社とKさん達・静岡借地借家人組合役員の団体交渉が行われたが、借家人の目の前で、家主MとT社が「立退き補償問題」で大喧嘩となった。ほどなくT社から「わが社は本件から手を引く」旨の連絡があった。
家主Mは「アパート経営から手を引きたいと考えていたところ、T社から『家主は手を煩わせずアパート経営が出来る』と魅力的な勧誘があり、頼んだが話が違った。家賃収入は生活の一部、此処も老朽化し、いずれ壊すことになる。貴女達が居るといえば今のままで良い」と退去請求を事実上撤回した。
平成20年初夏、そんなKさんにS建設Yから「年末までに退去せよ」の申入れがあり、交渉は静岡借地借家人組合役員を交えて行われた。Yは「建物老朽化で建て替えたい・家主Mは退去費用を補償しないといっているので、S建設が工事費の諸経費で100万円払うから合意してほしい」に対し、Kさんは「退去請求には正当事由がない・住み続けたい」と回答する。
Yは「もし貴女が立退く場合どの位の費用が掛かるか今後の参考のために聞かせて欲しい」と執拗に聞くのでKさんは「文献などを参考にして試算したら250万円になったが、退去の交渉ではない」と強調した。YはKさ宅を訪れ退去を云い寄るので、「女性の一人住まいの部屋に押し掛けるな」と抗議し止めさせた。
平成21年の春になると、家主Mから「これまで嫌な思いをさせたことを謝罪したいので会いたい」との申入れで面談した。ところが、謝罪どころか「法外な立退料を払えとは非常識だ。病気だと云うが仮病だ」と悪罵の限りを吐く始末だ。
しばらく経ったある日、家主Mの妻が「出て行け」と叫びながら、突然Kさん宅の庭先の窓から侵入しようとし小競り合いとなり、警察も事情聴取に来るという事件発生、S建設に抗議すると「窓の開け閉めは家主の権利だ」と。
平成21年6月家主Mは、清水簡易裁判所に「建物明渡」を求める申立てを提起した。Kさんは「内容に事実と異なる部分がある」と回答を求めた。
次回調停では家主側から「回答の準備が出来ない・解決と謝罪の意思あり」との陳述があったと調停委員の説明があった。
3回目の調停では、双方歩み寄る余地なしで不調となった。調停委員の説明では、「家主側代理人はS建設の顧問弁護士で家主は直接退去の補償は出さないが、間接的に工事費に上乗せされているのではないか」とのことだった。
家主は近日中に本裁判に訴えると思うが、Kさんは万全の態勢で迎え撃つ決意をしている。
静岡借地借家人新聞より
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