東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を自ら守るために、
自主的に組織された借地借家人のための組合です。

東京・台東借地借家人組合

借地借家人組合に加入して、
居住と営業する権利を守ろう。

無料電話相談は050-3656-8224(IP電話)
受付は月曜日~金曜日(午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )

 尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 

【Q&A】 地代の値下げは拒否されたが、希望する減額地代で供託できるか

2010年07月15日 | 地代の減額(増額)

(問) 私は、地主から地代値上げ請求を受けると、その請求額通りに支払い続けてきました。ところが、知人が支払っている地代を聴き、私はその約3倍近い地代を支払っていたことがわかりました。そして、知人のアドバイスで固定資産税を調べましたところ、税額の概ね18倍の地代となり、しかも、税額はこの数年減額されていました。

 そこで、地主へ知人が支払っていた地代まで値下げをしてもらいたいく申し出ましたが、応じてもらえず、地代を当分の間凍結して希望している地代額で供託したいと思っています。供託できるでしょうか。できるとしたら希望している地代でできるでしょうか。


(答) バブル崩壊後地価は下落し、それに連動して固定資産税等の公租公課も減額されています。

 また、92年8月1日施行された借地借家法により、民事調停法が「改正」され、賃料増減額請求は裁判所へ提訴する前に調停委員会へ申し立てるいわゆる調停前置となりました。

 そのため、最高裁判所は、91年12月全国の簡易裁判所へ「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」を通知し、その中で、「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときには、加減要素としては考慮しない」との指針を示しました。その結果、従前の合意地代が公租公課に比較して不相当に高い地代(たとえば10倍近い)を支払っている事例では地代の減額を地主に認めさせる成果を上げています。

 しかし、「賃料増減請求権」を規定している借地借家法第11条(✻1)は①増額請求の場合は、借地人が相応と考える地代を地主へ提供し、受取を拒否されれば相応とする地代を当該地の法務局(✻2)へ供託し、地代が確定すればその差額に年1割の利息を加えて清算することになっています。

 ②ところが、減額請求の場合は、相応額を地主へ提供し、地主の合意が得られない場合は、従来の合意地代を提供し、その地代を額を地主側が受領拒否した場合のみ従来地代額で供託(✻3)の手続きができます。

 万一、減額を希望する地代を提供すると、地代の一部未払いとなり債務不履行を理由に契約解除となります。

 減額を希望する場合は、従来地代を必ず提供し、地主が受取拒否した場合でも従来地代を供託しなければなりません。その上で「減額請求」の調停または裁判で確定した場合、確定額と供託額の差額に年1割の利息を加算して清算されることになります。

 したがって、お問合わせの中で、地代を当分の間支払いを凍結することも、希望する減額した地代で供託することもできません。

 減額の合理的な理由があっても減額の合意あるいは和解・判決で確定するまでは、従来の地代を必ず支払うことが借地権を守ることになります。

 

全国借地借家人新聞より

 


(✻1)借地借家法
(地代等増減請求権)
第11条
 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2  地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3  地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

 民法
(✻3)(供託)
第494条
 債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。

(✻2)(供託の方法)
第495条 前条の規定による供託は、債務の履行地の供託所にしなければならない。

 


関連記事
 【Q&A】 家賃の値下げ請求をした場合であっても従前家賃額で供託する

 【Q&A】 固定資産税台帳を用いて借地人にも適正地代を計算することが出来るか

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。