(前回からの続き)
以前こちらの記事に、わが国は経済成長の当面の目標到達点として「GDP年10兆ドル」を掲げるべき、なんてことを綴りました。本稿でこれまで記してきたことからも、その理由がお分かりいただけるかと思います。
それにしても、このあたりは為替レートがいかに大きな影響を与えるか、ということを痛感します。先述のように、安倍政権が発足して以降の約4年間の円建てのGDP成長率(名目)は、おおむね年2%程度と「飛びぬけて」良くもなく悪くもない水準でしたが、これが世界の目線(ドル換算)では「飛びぬけて」マイナス成長となり、中国など各国の成長に大きく後れをとったような結果になるわけですから・・・
・・・ということは、レートが円高ドル安に戻れば、それだけわが国のドル建てGDPは回復することになります。たとえば2016年の場合、先般ご紹介のとおりGDPは約537兆円です。これを直近の実質実効為替レート1ドル76円(1月)でドル建てにすると何と!7兆ドルにもなり、2012年の史上最高額(約6.2兆ドル)から1兆ドル近くも上乗せできるわけです。
前回書いたような事情等のため、たとえ年7兆ドル規模の経済になったとしても日本は表向き、急に良くなったり発展したようには思えないかもしれません。ですがこのとき、わが国は着実にプラス成長し、国家国民は豊かになれると確信しています。その根拠等はこちらの記事などですでに述べたとおりです。
ああそれなのに・・・この際の成長等の源泉は円高がもたらす円建て輸入原材料価格の下落とか国民の購買力上昇、すなわち「円高デフレ」だから、インフレ万歳理論に固執する安倍首相や黒田日銀総裁らはメンツを保つ意味でも、この発現を断固、阻止するしかありません。したがって「アベノミクス」が続く限り極端な円安になるため、国際的な基準で見た日本経済の縮小化と国民の窮乏化は止まることを知らず、結果として先述したように安倍晋三氏は「人類史上、その政策で国家経済をもっとも『マイナス成長』させたリーダー」の一人として長く日本と世界の記録&記憶に残ることになりそうです!? 不思議なことに、本邦メディアや経済学者を含めた日本人のだーれも口にしないから気づいていないみたいだけれどコレ、上記公的機関のデータで「バッチリ」裏付けられているから否定のしようも、そして隠しようもありませんからね、念のため。
・・・ご本人がどうお感じなのかは定かではありませんが、個人的には・・・アレキサンダー大王並みに(!?)いくら歴史に名を刻むことでも、安倍首相にとってこれはけっして名誉なことではないと思います。やはりこの国の総理大臣には、どなたであっても、日本を「プラス」方向に引っ張った、という実績を残していただきたい! なので安倍首相、内閣顧問の浜田宏一先生、黒田総裁にはあらためて、もう少しグローバルな視座から日本の成長戦略を描いてほしいと切に願うものです。そのために第一にすべきは・・・プライドもあって(?)御三方には難しいのかもしれませんが本来は誰にでもできる超簡単なこと―――IMF、OECD、内閣府とか・・・目の前の日銀の統計を虚心坦懐に直視することではないでしょうか・・・
(「歴代ワースト成長で経済史に名を刻む?安倍首相」おわり)
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