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【ユーロ共同債で独に多く債務負担させたい?仏ら】ユーロ圏、金融・財政の統合を決断できるか③

2017-06-23 00:02:00 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 ユーロ圏による今般のギリシャ追加融資決定の知らせで思い出されるのは「Frexit」つまりフランスのEU離脱・・・の是非が最大の争点となった5月の仏大統領選。ご存知のとおり、Frexitと通貨「新フランス・フラン」への切り替えを訴えたルペン氏が敗れ、EU残留と共通通貨ユーロの継続利用を約束したマクロン現大統領が当選したわけです。

 ・・・そんな選択をしたフランス人は上記決定を「EUに留まるとはこういうことか・・・」といった思いで受け止めたのではないでしょうか。つまり、EUメンバーであり続けるなら、他のメンバーであるギリシャを支援するための融資金を自分たちが拠出しなければならない、ということです(具体的には欧州安定メカニズムへの出資等になると思われる)。前述の状況からこのローン、貸し倒れリスクが高いうえ、今後はギリシャに続いてイタリアとかポルトガルといった国々がユーロ圏に続々と借金を求めてくる可能性も十分です。こうしてフランスは返ってくるかどうかも分からない国民の貴重なおカネを貸し出すわけです、果てしなく・・・(?)

 上記ルペン氏、そしてBrexitを決めた英国はEUにいることの最大の危険性をこのあたりに見出したのではないでしょうか。英仏両国には、ギリシャを含む欧州重債務国よりは自分たちのほうがまだマトモだから、EUに残る場合、自分たちに入ってくるマネーよりも他のメンバー国に提供してあげるマネーのほうが多く、差し引きでは損をし続けるだけ、という見通しがあるでしょうからね・・・(?)

 それを理解したうえで、あえて(?)EU残留を決定したフランスは、この先もギリシャらと付き合っていくしかないでしょう・・・が、そんな中でも自国の負担ができる限り軽くなる策をあれこれ考えることになります。これ端的には、ユーロ圏の仲間内で自国よりも資金的な余裕のある国、ぶっちゃけドイツに余計におカネを出させるという手(しかない?わけ)です。だからといってフランス等はドイツに「もっとおカネを出せ~」とはっきりとは言いづらいところ。そこで出てくるのが「ユーロ圏共同債」という構想です。

 ギリシャ、イタリア、フランスなどの国単位に分かれているユーロ圏の債務を一本化したうえで資金調達し、その支払いはユーロ圏全体で、というこの枠組み、一見良さげに思えます。ですがこれ、ドイツには絶対に賛成できないスキームといえます。なぜなら、財政状態が相対的に良いドイツにとっては必要のない債券を発行させられるうえ、そのかなりの部分の支払いを強いられるから。一方のギリシャ・・・ばかりかドイツよりも調達金利が高いフランス等にとってはありがたい仕組みです。自身の債務を低利でファイナンスしてもらえるうえに、その返済の多くをドイツにお任せできるのだから・・・

 トムソン・ロイターによれば、欧州委員会のモスコビシ委員が先日、この共同債について、ドイツが強く反対しているために現時点で提案することはないが、長期的には検討する可能性があるとの認識を示したそうです。まあそうでしょう、同氏はフランス人なだけに・・・

続く

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