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【ドルが高くても安くてもアメリカがインフレになっていく理由】日本の「体たらく」が示唆するドル「終わりの始まり」⑤

2024-03-09 15:05:11 | アメリカ
前回からの続き)

 ゴールド)の先物価格(ドル建て)は7営業日続伸し、8日のNY終値は2185.5ドルと過去最高値を更新しています。そのあたり、べつな見方をすれば・・・金に対するドルの価値がこうして下落の一途、ということで、まさに昨年末の記事タイトルのとおり、ついにドルは「金に駆逐」されていくプロセスに入ったというべきなのでしょうね(?)。というのも、これまた同記事で指摘したように、FRBは政策金利を2022年春のゼロ%付近から現在の5%超まで引き上げてきたにもかかわらず、永遠に利回りゼロの金の価格抑え込みに失敗・・・どころか逆に同ゼロ時よりも現在の5%超時の価格のほうを上記のとおり押し上げて(?)しまったからです。やはり、とっくの昔から書いているように、FRB、そしてアメリカ(連邦政府)には、ドル信認の維持すなわちインフレ制御が不可能なことがあらためて分かりますね、金を通してみれば・・・

 ところで先述のように、現在、為替レートは「円安」つまり・・・そのドルが円に対して(超がつくほど)高くなっているわけですが、米国民にとっては、いまや、このようにドルは円・・・をはじめとする他通貨に対してつねに高くあってほしいところでしょう。なぜなら、こちらの記事等でご紹介のとおり、かの国はすでに、「ボーイング」の航空機以外のほぼすべてのモノ(含む石油等)を他国から買うしかない―――自国に国民の需要を満たすモノ作りの産業等がないに等しい―――ためです。であれば、ドルは高いほう(ドルの他国産品の購買力が強いほう)がよいことになります・・・って、安くなると、全米のほぼすべてのモノ(≒輸入材)のドル価格が跳ね上がってインフレが激化してしまいますからね(って輸入代替(自国で製造等)ができるのは兵器・武器類くらいしかない?)・・・

 ところが・・・ドル高になると、今度は、かの国をファイナンスするべき(アメリカにとっての)マネーが不足し、「金利」上昇圧力が高まってしまいます。これまた既述、上述、そしてご存じのように、かの国は永遠の双子(経常&財政)の赤字国であるところ、他国からの借り入れが常時必須ですが、当該国の通貨がドルに対して安くなると、それだけ同国の米国債等の購買力が低下してしまう―――それだけアメリカは諸外国からのファイナンスを得難くなる―――ということです。

 そのあたりは、こちらの記事に書いたとおり、日銀の現行金融政策「異次元緩和」---事実上の円安誘導---開始時(2012年1月)から最近(2022年12月)までの10年あまりの間、日本の米国債保有額がまったく増えていない(むしろちょっとだが減ってさえいる)ことからも分かります。それなのに、この間、アメリカの(連邦政府)債務額は・・・2012年の約16.7兆ドルから2022年には約30.9兆ドルと、倍近くに膨らんでいます(現時点で約34兆ドル…)。しかもこの瞬間、かの国の国家債務は100日ごとに1兆ドルずつ増加し続けている(バンカメのアナリストの指摘)わけです。これほど巨額となれば、日本その他からの借金では賄いきれるワケがなく、その穴を埋めるべきマネーは・・・やはり「不動産」(およびその価格を押し上げるべきFRB緩和マネー)で生み出すほかないでしょう・・・

 こうして、通貨高という本来ならばディスインフレ的な金融環境さえもまたアメリカではインフレ喚起的になってしまいます。したがって上記からも・・・アメリカそしてドルはどのみち―――本稿の文脈では、ドルが高かろうが安かろうが―――インフレになるしかない、という毎度の結論が導かれる、という次第です・・・

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