木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

「核兵器廃絶」と「原子力発電所廃止」

2011年01月02日 | Weblog

核兵器製造労働者の被爆
2010年末のNHKスペシャル番組では、60年代、アメリカの核兵器製造工場ロッキー・フラッツ社で、プルトニウム加工製造過程で被爆した労働者の告発というか、証言を報じた。
核兵器というと、政治家や評論家は「核の抑止力」などと机上の空論をふりかざすが、実物の「核兵器」は、現場の労働者の被爆の犠牲の積み重ねによって作られ続けてきたのだ。
製造過程で起きたちょっとした切り傷、刺し傷、ヤケドなどを通じて、2000から3000人の労働者が被爆被害に遭ってきた。
65年には工場内でプルトニウムが発火して火災が起きた。放水すれば、核分裂の連鎖反応=臨界状態が起こる可能性があったが、ほかに方法がなく放水に踏み切る。幸いにもこの時は
臨界は起きなかった。ただ単に運がよかっただけのことなのだが。
ここで働く人達には厳しい守秘義務が課せられ、工場内でおさまっている限りにおいては、事故は広く知られることはなかった。
しかし後に3000人ものロッキー・フラッツの労働者がガンや白血病に犯されることとなる。
守秘義務は課せられても労働者達は「放射能の本当の恐ろしさ」は知らされていなかった。
核兵器製造工場の危険な実態が明かされつつあるのは、オバマ大統領の「核兵器削減」の方針を受け、老朽化した工場の解体が進んだからだ。
今アメリカは老朽化した21箇所の核兵器施設の解体を進めているが、その解体の過程でも大量の被爆を覚悟しなければならない。
日本でも東海村の原子力施設で「臨界事故」があった。
あの時、大量の放射能を浴びた大内さんという労働者は、身体のあらゆる組織を破壊され、壮絶な苦しみの中で死んでいった。
アメリカでは70万人の労働者が今まで「核兵器製造」を支え、7万発の核爆弾が製造された。
オバマ大統領の「核兵器削減」は、あくまで老朽化した核施設や、最新でなくなった兵器の削減であり、それにとってかわる新しい施設を作る計画があり、「核廃絶」ではない。
使わないことが前提の核兵器製造のために製造現場の労働者は健康を冒されていく。
振り返って今日本も、民主党政権は、「原子力発電」の建設をインドやエジプト、ベトナムなどに売り込むことに積極的である。
だが放射能汚染の危険性は、核兵器製造工場と変わらない。
使用済み核燃料の処理をどうするかの道筋もいまだつけられないものを推進してどうするつもりだ。
原子力発電所も、遠隔操作だけでは済まない部分で働く労働者がいる。その人達がまったく被爆しないということは有り得ない。
「核兵器廃絶」と「原発廃止」はセットだ。
電力エネルギーは、地域ごとの発電(太陽・風力・バイオ)の道を追求したいし、省エネルギーの生活スタイルを目ざしたい。

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2 コメント

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ハンフォード・サイト (至誠堂)
2011-01-14 21:46:57
現在,10年以上前に購入した「ジャック・ウェルチー悪の経営力」を読んでいます。
ジャック・ウェルチ=ゼネラル・エレクトロニックの元CEO、リストラ経営の元祖。あくなき利益追求は、核廃棄物・環境ホルモンなどの問題もすべて覆い隠していきます。
ハンフォード・サイトは米国で最大級の核廃棄物問題を残していながら、チェルノブイリのようには六ヶ所村のように、日本でも話題にならないことが不思議です。
核兵器を必要としているのは? (里村)
2011-01-15 23:55:25
至誠堂さんの核兵器工場関連のブログは読ませていただきました。
コメントできるほどの知識がこちらになかったのですが。
核兵器が必要だと言っているのは、兵器産業のトップとそれと結びついた政治家(共和・民主両党の)だけなんでしょうね、本当は。

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