木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

守銭奴化する資本主義

2010年12月26日 | Weblog

11年度税制大綱固まる。
先週の記事だが、何と言っても目に付くのは「法人税5%減税」。
減税により企業活動を活発にし、経済成長を促し、ひいては雇用を増やすことにつなげるためと菅総理は言うが、「その保証はない」と、減税を要望していた経団連のトップが自ら言う始末。
経済や税のことをあれこれ言える知識はないので、「法人税」というものが利益にかかる税で、実は今7割の企業が払っていないということも最近知った。
名だたる大企業や銀行の中にも表向き「赤字決算」を計上して税を免れている場合もあるようだ。
ただでさえ「財源がない、財源がない」と言っている時に最優先でやるべきことではない。
財源不足の中での「予算編成」で、通奏低音で聞こえてくるのは「消費税増税」だ。
しかし5%の増税の直撃を受けるのは末端の消費者以上に中間の業者や自営業者だということをノンフィクション作家の斉藤貴男氏が『消費税のカラクリ』という著書で明らかにした。
自らも物書きという自営業者だから、死活問題でもある。
元請に対して下請け、孫請けの業者は、消費税分を上乗せしにくい立場であり、消費者に対しても10㌫ということになれば、そもそもの商品の値段を利幅を薄くして押さえなければならない。
両者の板ばさみになって、やっていけなくなる自営業者が急増し、消費も冷え込み、日本経済は更なる閉塞状況に落ち込んでいくだろうというのだ。
「経済とは何だろう」と素人なりに考えてみるに、お金と物を回して行くことだという気がする。
タライの水を回すように常に回して、滞らせてはならない。溜め込んではならない。
利益をあげたらそれを賃金として働く人に回し、税として社会に還元する。
そうすることで次の循環が生まれてくる。
守銭奴化して貯めこみ、強欲に総取りしてしまっては経済の動きは止まる。
少し前に「一週間で資本論」という番組がNHKで放映された。
資本家がお金を増やすことに血眼になって走り続け、一円でも減らすのはイヤという地獄に落ちるメカニズムは「資本論」を読めばわかると、解説の大学の先生が言っていたが、私は「資本論」をまともに読んでいないのでわからない。常々不思議に思っていることなのだけれど。
しかしこの「地獄」のメカニズムを止めるのは成熟した市民と市民社会であるとも解説の先生は言った。
経済発展の真っ只中の中国やインドの購買力はすごいが、かつての高度経済成長時代の日本もそうだった。
が、今日本では若者に物離れの傾向が進んでいるという。成熟した経済社会で育った彼らは物を買ったり、所有することに執着しない。
出資・経営・労働を参加者全員がにない、規模拡大ではなく適正規模を維持し、利益は公正に還元するという「協同労働」の考え方が、こうした若者によってになわれていく可能性がある。
資本主義を超える実践的経済活動が21世紀の世界には求められている。

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