木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

日本はアジアへの侵略をどれほど見つめているだろうか

2021年07月10日 | Weblog

映画『狼をさがして』を見る。
韓国の女性監督が撮ったドキュメンタリー風映画。
自分の父が日雇い労働者だったという監督。そこから大阪の釜ヶ崎にたどり着く。そこで最底辺の労働者と共に働いた大道寺将司。彼自身は労働者の息子ではなく北海道釧路の生まれで父は市役所の職員。
ただ戦前満洲で働いた。ロシア語が堪能でその能力を買われて釧路市でもその関係の仕事をした。多彩な人で釧路の市歌を作曲し自ら指揮をするような人だった。一人息子の大道寺の周囲には日本人から差別を受ける先住民のアイヌの同級生もいた。大道寺の関心はこうした先住民乃至は植民地化された朝鮮半島、侵略された東南アジアの人々に向かった。
高校卒業後大阪外国語大学を受験するが失敗。その流れで釜ヶ崎に暮らした。しかし法政大学に進学したが、そこの新左翼活動家達にはなじめなかった。連中も深く考えることなく権力の差別構造、戦前の軍隊組織そのままで、女性蔑視だった。
彼は少数の仲間と共に戦前の企業の犯した罪の責任も取らず、再びアジアに経済侵略に乗り出した企業、特に兵器・軍需産業の三菱重工業鹿島建設を「アジアの人々に謝罪せよ」と警告し爆弾を仕掛けた。いわゆるテロリストの道だった。
大道寺は収監された東京拘置所で68才で病のため獄死するが、逃れたメンバーは東ヨーロッパに渡り活動する。
しかし今は服役中である。溶田由紀子は刑期を終え普通の生活を送っている。彼女の生活ぶりは撮影されている。
普通の一流企業のOLだった彼女が大地の牙を名乗るグループのメンバーになった心情はよくわからないが「このままではいけない、こんな日本ではだめだ」という思いは強く持っていたようだ。今だったら市民運動や新興宗教に生きる道を見つけるタイプだろう。
私は松下竜一という豆腐屋をしながら物書きをしていた彼の「狼煙を見よ」という著書で東アジア反日武装戦線の実態を知った。
三菱重工業本社爆破で死者を出してしまったことを深く後悔するメンバーだがアジアの国々を搾取の対象としてしか見ない日本人を告発する心情は変わっていない。

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