木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

上に立つ者ほど冷静でなくてはならない

2024年05月16日 | Weblog
天気はいいが風が強い。
昨日は1932年(昭和7年)5・15事件が起こった日。
当時の犬養毅首相が首相邸に踏み込んだ海軍の青年将校に「問答無用」の言葉と共に銃殺された。
5月の佳き日、土足で踏み込んできた青年将校達に老獪な首相、この時78歳か何か。「まあ、靴を脱げや、話せばわかる」と言ったのにたいしての先のことば「問答無用」。孫だった犬養道子さんは母親と共に在宅していた。血に染まった祖父を目撃している。後にこのことを書いた道子さんは「話せばわかる」の意味は青年将校と話せばわかってもらえるという意味ではなく、海軍の予算を削減した理由を説明しようとしたのだという。
頭に血が上っている青年将校達は世界情勢や日本が置かれた状況等知ろうともしない。この時青年将校たちを「統帥権の逸脱」として厳しく処分しなかったことが、後の昭和11年(1936年)の陸軍のこれまた青年将校たちの反乱につながり、文民統制が崩れ、軍の暴走につながり、日本人300万人、アジア太平洋全体で1000万人の犠牲を生んだ。
戦後1970年代以降、ニュースキャスターをしていた俳優の中村敦夫さんは自衛隊の幹部を取材したとき、中村さんの目には彼らは驚くほど抑制的で、血の気の多いタイプは一人もいなかったと言っている。上に立つ者はどんな場合でも冷静な人でなくてはいけないのだ。


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