ことのは

初めに言葉があった。言葉は神とともにあった。言葉は神であった。と、ヨハネは言う。まことに、言葉とは不可思議なものである。

厄介なもの

2016-06-07 13:04:31 | 日記・エッセイ・コラム
この世には生命体がある。
生命体でないものもある。
それらを合わせて、
この世のすべてである。
・・・・・
生命体とそうでないものの境界はよく分からない。
命はどうも初めからあったものではないようだ。
後から造られたものらしい。
何かのきっかけがあってできたらしい。
科学的にはそう言われている。
命なき世界から命ができたのなら、
命なき世界は命の母である。
生命体とその母はもとより一身同体であり、
ならばそこに厳密な区別など付けられない。
それが世界である。
・・・・・
ところで厄介なものがある。
死である。
死とは現実にはない。
言ってる意味が分からないかもしれないが、
つまり、
この世にあるのは生命体とそうでないものだけだ、
ということである。
だが、人間は現実にはないものを創ってしまう。
言葉という道具を使って。
それが死である。
死という概念である。
概念は頭の中にあるだけで現実ではない。
現実にあるのは死体である。
つまり生命体でないものがあるというだけだ。
・・・・・
概念とは亡霊みたいなものだ。
頭の中にだけある。
人間はずっとその亡霊に悩まされてきた。
ひたすら現実のまにまに生きていればいいのに、
言葉を持ったがゆえに、
その亡霊に悩まされる。
実に厄介である。
であるから、
人間にとって何より大切なのは、
その取扱いである。
言葉の取扱いである。
・・・・・
ヨハネは言う。
言葉は神と共にあるもので、
神そのものでもあると。
人間が扱うには要注意である。
謙虚に扱うべし。
真言(まこと)を尽くすべし。