ことのは

初めに言葉があった。言葉は神とともにあった。言葉は神であった。と、ヨハネは言う。まことに、言葉とは不可思議なものである。

日本の言葉

2015-08-17 13:59:42 | 日記・エッセイ・コラム
日本語は難しいとよく言われる。
私もそう思っていた。
だがどうも、それはちょっと違うらしい。
話し言葉だけなら実は易しい、
と外国の人が言う。
音韻としては少ないのだ。
だから覚え易いらしい。
逆に書き言葉すなわち文字を扱うのは厄介である。
何しろ文字の種類が多い、圧倒的に多いのである。
何より漢字である、その上にひらがな・カタカナ・アルファベットがある。
日本人なら知らず知らずの内に習得することができる。
だが外国人には難しい。
・・・・・
書き言葉はともかく日常会話程度なら日本語は易しい、
と言うことだが、
もう一つ難しいことがある。
語彙が多いことである。
日本語の根っ子は基本語彙と「てにをは」である。
基本語彙はそれほど多くはないのだが、
新しもの好きの日本人は外国から言葉を借用するのが上手である。
古くはシナの漢字を利用して、
昨今は欧米の言葉をカタカナ表記することで。
それで語彙が増えるのだ。
消えるのも当然あるのだが。
・・・・・
特に幕末以降のことだが、
欧米の文明を取り入れる必要に迫られた。
為に欧米の言葉を必死に学んだ。
何事も突き詰めて扱う日本人である。
それらの習得者が少数であっても、彼らはそれを深く理解する。
その彼らが翻訳する。
おかげで誰でも外国の本を読むことができる。
日本語だけで、である。
しかし、すべてを旧来の言葉では置き換えられない。
そんな時は新しく言葉を造る。
それもあって語彙が多くなる。
・・・・・
ちなみに、欧米などから見れば日本は辺境である。
彼らが日本の本を翻訳することは余りない。
最近は少しは変わってきたようだが。
でも実際のところ、
翻訳しようと思っても逆に向うに言葉がない場合がある。
置き換える言葉がないのである。
特に日本人独特の思い入れのある言葉は。
深い思いは簡単には伝えられないのだ。
だから日本語がそのまま外国語になってるものもある。
にしても、奥深い陰影のある言葉はこれは難しいだろう。
とは言え、
お前は分かってるのか問われれば、
それも微妙である。