なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

問い合わせ~肝膿瘍

2022年11月20日 | Weblog

 木曜日に県内有数の市立病院救急科から、71歳男性の問い合わせが来ていた。

 前日の水曜日にそちらの病院に救急搬入されていた。造影CTで肝膿瘍が疑われたが、以前同じ病名で当院に入院した既往があり、それについて診療情報を送ってほしいという内容だった。患者IDを入力すると、2年前の5月に肝膿瘍で入院していた。当時在籍した自治医科大学卒(義務年限中)の若い先生が担当していた。

 

 高熱でクリニックを受診したが、症状が続いて、夜間に救急搬入されていた。当直医が発熱源検索で単純胸腹部CTを行っていたが、気づかなかったようだ。翌日相談された時に、肝臓内(S4)にぼんやりとした低濃度域を認めた。肝嚢胞にしては、辺縁がぼやけていた。

 造影CTを行って肝膿瘍と判断したが、放射線科の読影レポートは「肝膿瘍疑い」となっていた。他に発熱源はなく、肝機能障害はほとんどなかったが、肝膿瘍でいいのだろう。胆道系には問題がなかった。

 血液培養2セットは陰性で起炎菌は不明だったが、抗菌薬(ゾシンPIPC/TAZ)投与で解熱軽快した。(スルバシリンABPC/SBTでもよかったのだろう)1か月は点滴静注を行った。

 その後は抗菌薬内服(AMPC/CVA+AMPC=オグサワ)で外来通院としていた。11月始めまで経過をみて、3か月間炎症反応陰性で終診としていた。

 肝膿瘍でドレナージを要するようであれば、地域の基幹病院などに紹介する。この時はサイズが小さめで保存的治療だったのと、治療経過が良かったので当院で診た。

 

 入院サマリーとCTの読影レポートと、最後の腹部エコー所見を入れて、診療情報提供書を送った。ある程度治療した後に転院依頼が来るかもしれない。

 救急搬入された日は、コロナのクラスター発生で、救急担当の先生がその日救急を診るバイト医(大学病院外科)に、事情を説明して救急搬入は難しいと話していた。搬入依頼を断ったのかもしれない。患者さんの住所は地域の基幹病院の近くだが、そちらも受け入れできなかったのだろう。結果的に40km弱離れた病院に搬入されたのだった。(病院のレベルとしては最高だが)

 

 

 担当した若い先生は他県出身で、当県出身の奥さんと結婚していた。初期研修はそれぞれの出身県で過ごす。残りの年限を二人そろってふたつの県で半分ずつ過ごすことになる。自治医大あるあるだった。

 当院に来た時は、初期研修を自分の出身県で過ごした次の年で、卒後3年目だった。夫婦ふたりでの赴任で、初めて同居したのが当地ということになる。翌年にはそれぞれ別の町立病院に移動になり、県内ではあるが、夫婦は離れ離れになった。当県で3年過ごして、来年度からは自分の出身県に戻るはずだ。

 

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歌詞が飛ぶ

2022年11月19日 | Weblog

 小田和正さんの記事が載っていた。高音が出なかったり、歌詞が飛んだりしたことがあったそうだ。75歳だからその辺はしょうがないかと思う。

 小椋佳さんは高齢になってからは、椅子に座って楽譜を前に置いてコンサートをされていた。(テレビなどで見ただけでコンサートには行っていない)

 小田さんはコンサートでは走ったり、自転車をこいだりして元気に動いているらしい。無理しないで、小椋佳スタイルのコンサートでもいいのではないだろうか。

 

 小田和正さんの作品は、ベスト盤のCDを2枚と、テレビの「クリスマスの約束」のDVDを持っているだけなので、ほんのちょっとしたファンというくらいだ。

 子供の頃は聖歌隊に入っていたそうで、「生まれ来る子供たちのために」などは教会で歌われてもおかしくない。コーラスを感じる歌が多い。

 小田さんの歌詞は、人称は「君」と「僕」で、色は「緑」と「白」で、「風」・「空」・「街」が入る。そして「君」を「想う」・「愛する」・「守る」。

 

 大学の時に混声合唱団(全学部)に入っていた。合唱団の名簿に小田和正さんの名前があった。所属が「オフコースカンパニー」となっていて、なるほど確かに、だった。小田さんは当然テナーだろう(当方はバス)。

 小田さんのコンサートには行ったことがない。チケットが取れるかわからないが、一度行っておかないと、行かないで終わってしまうかもしれない(お互いに年なので)。

 数年前から「一度は行っておかないと」と思って、井上陽水さんや谷村新司さんのコンサートを見に行っている。

 

高音が出ず、歌詞も飛んで

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甲状腺癌

2022年11月18日 | Weblog

 10月11日、20日、27日に記載したS状結腸癌術後再発・多発性肝転移・多発性肺転移の80歳代男性のその後。

 ナイキサンで発熱(腫瘍熱)が治まり、食事摂取できて、トイレ歩行もできるようになっていた(それ以外の時はベットに横臥しているが)。家族から在宅介護は困難で、もし退院できるとしても施設入所を希望するといわれていた。

 現在の病状では、施設入所の適応もあまりない。いったん自宅で過ごして、病状悪化時に再入院の方針となる。

 家族(息子)に来てもらって、リハビリ見学で現在の状態を見せることにした。確かに良くなっているといわれたが、やはり在宅は難しいという。日中はひとりになるから、だった。

 それに、と自分の病気の話をされた。12月初めに大学病院に入院して、甲状腺癌の手術を受ける予定になっているという。

 一見して甲状腺腫(腫瘍)ははっきりしない。どれどれと触診するのも変なので、さすがにそれはしなかった。

 

 健診で高カルシウム血症を指摘されたのがきっかけだった。当初は副甲状腺の問題として精査されたが、結果的には甲状腺癌によるものと診断された。

 悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症は下記の通りで、甲状腺癌でも認めることがある(数%)。腫瘤触知で発見されたわけではないので、腫瘍サイズの問題としてはいい方かもしれないが、何だかまずいことになっているような気がする。

 当分は入院継続で当院で預かることにした。順調にいっても、息子さんは12月半ばまでは入院しているらしい。

 この時期としては、年末年始は自宅で過ごすというのが目標になる。患者さんと息子さんの病状次第だが、良かったら年末年始の退院を検討して下さい、と伝えた。

 

悪性腫瘍と高カルシウム血症

 悪性腫瘍では経過中にしばしば高カルシウム血症を合併し,時にはこの高カルシウム血症が直接死因となることさえあります。進行癌では比較的多い合併症で、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症は機序の面から以下の二つに分類されています。

 悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症ではPTH低値、PTH-related protein (PTHrP)高値となる悪性体液性高カルシウム血症(humoral hypercalcemia of malignancy:HHM)と、骨転移に伴う広範な骨破壊による高カルシウム血症(local osteolytic hypercalcemia:LOH)があり、HHM80%、LOH20%の頻度です。

 HHMは、腫瘍細胞が過剰に産生・分泌するPTHrPによって起こります。HHMは、肺扁平上皮癌、乳癌、泌尿生殖器系腫瘍や成人T細胞白血病での発症頻度が高いです。一方、LOHは、肺癌、乳癌などの骨転移や多発性骨髄腫などで、骨転移した局所で腫瘍が産生する骨吸収因子によって起こります。

 

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カテーテル関連血流感染症

2022年11月17日 | Weblog

 SLEで治療していた90歳男性のその後。プレドニンとプラケニル(ヒドロキシクロロキン硫酸塩)で軽快していたが、血管炎と思われる多発性脳梗塞を発症した。

 ヘパリン持続静注で経過をみることになったが、経口摂取できないため、内頚静脈からCVカテーテルを挿入して高カロリー輸液を開始した。

 発熱があり、血液培養2セット(カテーテルからと静脈)から表皮ブドウ球菌Staphylococcus epidermidisが検出された。メチシリン耐性でMRSE(MRCNS)になる。

 ショックではないので、カテーテルを抜去しないで少し経過をみることにした。バンコマイシン投与で解熱して、炎症反応も軽快していた。

 今週また37℃前半の発熱があり、コロナのクラスターが発生した病棟にいるので、コロナのPCR検査を提出した。結果は陰性だった。水曜日に39℃の高熱となり、カテーテルを抜去するしかなくなった。抜去して、カテーテル先端を培養に提出した。

 病状が良くないので、病室で大腿静脈からCVカテーテルを再挿入した。内頚静脈よりも感染を来しやすい部位なので、短期間それでしのげればという挿入になる。病棟の看護師さんの安心のために、コロナのPCRも再提出したが、やはり陰性だった。

 病棟で発生したコロナの患者さんを感染病棟に移動させて現在満床になっている。もう一人コロナになれば、一般病棟で診るしかない。来週月曜日にならないと感染病棟が空かないので、それまで新規のコロナを出したくない。

 

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クラスター

2022年11月16日 | Weblog

 先週水曜日の当直の時に、89歳女性が救急搬入された。自宅でひとりで入浴していたが、なかなか上がってこないのに家族(息子)が気づき、浴室に見に行った。

 浴槽内に座った格好で入っていたが、呼びかけても返答はなかった。口の中までお風呂のお湯が入っていたが、鼻は浸かっていなかった。妻を呼んで、いっしょに浴槽から引き上げた。

 引き上げた後はぼんやりしていたが、開眼して発語はあった。救急要請して、救急隊到着時には会話できるようになっていた。酸素飽和度が軽度に低下していて、酸素吸入をして搬入となった。

 搬入時は意識回復していて、会話はできるが、とにかく眠いと訴えた。午後10時半なのでふだんならもう寝る時間なのだろう。

 心電図は心房細動を呈していたが、町内の診療所の処方は、リクシアナ・ダイアートの処方が出ていて、慢性心房細動・心不全として治療されているようだ。

 他に糖尿病(DPP4阻害薬)、甲状腺機能低下症(チラーヂンS)、高脂血症(スタチン)、高尿酸血症(フェブキソスタット)が処方内容からわかった。

 頭部CTは脳委縮のみで、明らかな脳血管障害はなかった。胸腹部CTで両側肺野にすりガラス様陰影が、まだらにあり、放射線技師さんからお湯が入っているんじゃないですか、と言われた。

 誤嚥性肺炎の治療をして経過をみることにした。翌日は元気がなかったが、翌々日からはトイレまで歩行できて、食事も完食だった。搬入時と翌日朝に37℃前半だったが、その後発熱はなかった。酸素飽和度も問題なく、すぐに吸入は中止した。

 胸部CTでも陰影は誤嚥したお湯なのか、元々の心房細動・心不全の問題と臥位での背側の水分分布の問題か決めにくい。今回のことは、入浴による血管拡張~血圧低下~脳循環不全でいいのだろうか。

 家族がいるのでうまく発見されたが、一人暮らしだったか終わってますよね、と放射線技師さんと看護師さんに言われた。本日めでたく退院になる。

 

 昨日、地域包括ケア病棟に入院している86歳男性がCOVID-19に罹患していることが判明して、病棟の発生数は6名となった。クラスター発生になる。内訳は看護師2名、看護助手1名、患者3名。

 この86歳男性は個室に入院していて、間質性肺炎(プレドニン15mg・日)・慢性呼吸不全(在宅酸素療法)で、今回は誤嚥性肺炎で入院していた。寝たきり状態で、誤嚥を繰り返して絶食・高カロリー輸液になっている。

 他の患者さんとは離れた個室入院で移動もできない。職員からの感染で間違いなく、病棟師長さんは「ショックです」と言っていた。

 看護師さんが病院外で感染して、チームを組んでいる他の看護師さんに感染して、(対応時間が長い)介護度が高い患者さんにも感染したという経緯のようだ。

 

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抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体陽性

2022年11月15日 | Weblog

 月曜日は病棟のCOVID-19患者発生で忙しかった。夕方内科外来を診ていた先生(大学病院総合診療科)から誤嚥性肺炎の88歳女性を入院させたいと連絡がきた。

 急性期病棟の看護師長さんに連絡すると、まあ仕方ないですねと、引き受けれくれた。コロナの発生した病棟の分も診ることになったので、やりくりが大変なのだった。

 

 患者さんは認知症でグループホームに入所していた。前日に昼に嘔吐して、その後は食事摂取が低下して、その日の昼から発熱があった。コロナ・インフルエンザの検査は陰性だった。

 左下肺野背側に浸潤影を認めていた。腰曲がりがあり、食道裂孔ヘルニアを呈している。嘔吐からの誤嚥性肺炎発症ということでいいのだろう。

 外来のベットにおとなしく寝ていたが、以前の入院歴を診ると、認知症の不穏(言動)がひどかったようだ。入院すると、両手にミトンがされていた。

 

 この患者さんは2015年に、肝機能障害(黄疸も)で内科クリニックから当院消化器科に紹介されていた。AST・ALTが1000ちょっとで血清ビリルビンは3程度だった。画像検査では多発性肝嚢胞があるが、胆道系は異常がなかった。

 抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体が両方とも陽性(数値は明らかな陽性)で、自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎の併発と診断された。プレドニン30mg/日から開始して(ウルソも併用)、肝機能障害は改善している。

 プレドニンは7.5mg/日以下にすると肝機能障害が再燃して、現在は10mg/日になっていた。身長142cm・体重40kgなので、それなりの量になり、免疫抑制状態だった。

 患者数削減のため、内科クリニックに逆紹介していた。しかし2018年に大腿ヘルニアで当院外科(当時)に入院して、その時からはまた当院消化器科外来に通院となっていた。

 

 今回は嘔吐による誤嚥で、これまでご誤嚥性肺炎で入院したことはなかった。処方薬は問題なく内服できるので、翌日昼から食事を開始することにした。食後ある程度座位に近い姿勢を保たないとまた嘔吐する可能性があり、注意は必要だ。

 

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院内でCOVID-19

2022年11月14日 | Weblog

 土曜日に感染管理ナースから連絡が来た。地域包括ケア病棟の看護師さんが、新型コロナウイルス感染症に罹患していたことが判明したという。

 濃厚接触者の割り出しをすると、いっしょに昼食をとった職員2名と、マスクをつけていない入院患者がいる。症状はないので、2名の看護師さんと看護助手さんは自宅待機として、患者さんは病室移動なしで経過をみることになった。

 

 日曜日のまた連絡が来て、入院患者1名が発熱したという。褥瘡で皮膚科に入院している高齢女性で、その日の午後に処置に来ていた皮膚科医がコロナのPCR検査を提出すると、陽性だった。感染病棟が1床空いていたので、そちらに移動させていた(内科に転科)。

 さらに看護師さんと看護助手さんが発熱していた。二人とも自分でコロナの抗原検査を行って、前者は陰性、後者は陽性と出ていた(偽陰性だろう)。病院でPCR検査を出そうとしたが、日曜日の発熱外来はすでにいっぱいで、検査は月曜日になった。(職員なので通常は追加で検査するが、救急搬入もって発熱外来で対応できなかった)

 

 今日は陽性者が出た病室(4人部屋)に入院していた2名の患者さんのPCR検査を行ったが、陰性だった。今週はそのまま経過をみて、症状(発熱)が出現した時にPCR再検予定とした。罹患した入院患者さんはレムデシビル点滴静注で治療を開始している。

 使える病室は急性期病棟だけになる。地域包括ケア病棟で入院対応する眼科の患者さん(白内障手術、眼科は非常勤)は入院延期とした。透析患者さんのPTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty)は延期する余裕がないので、急性期病棟入院で行うことになった。

 そうすると急性期の入院を制限するしかなくなる。地域の基幹病院、消防本部(救急車)、大学眼科医局などに病院の状況をお知らせすることにした。今のところ4名の発症で、ここまで抑えておきたいが、どうなるか。

 地域包括ケア病棟では1週間前に、看護師さんがCOVID-19に罹患して休んでいる(自宅静養)。子供が罹って、その後夫が罹って、自分も感染した。こちらは家庭内感染で時期的には今回のとは違うのだろう。

 看護師3名と看護助手1名が休むので、1週間新規入院はないとしても病棟運営は大変になる。

 

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コロナで小児の熱性けいれん

2022年11月13日 | Weblog

 金曜日の午前中は救急当番だった。市内の救急隊から市内の9歳女児の搬入依頼が来た、朝から発熱があり、数分間のけいれんを2回起こしたそうだ。

 小児科医(73歳)に連絡して診てもらえるということで、受けることにした。搬入時、閉眼して呼びかけても開眼しない。まず、新型コロナ(とインフルエンザのキット)の抗原定性試験を提出した。6分で結果が出るが、それよりも早く検査室から「コロナ陽性」の報告があった。小児科医は外来受診の患児を診ていたので、外来の看護師さんにコロナ陽性(COVID-19罹患)と連絡した。

 救急隊にCOVID-19でしたと伝えていると、小児科医が来て、PPEを着ながら「後は診ますから」といわれた。発熱外来の一部屋はベット1床分の簡易的な陰圧装置がついている。

 刺激でかろうじて開眼するという意識状態は変わらず、高次医療機関に搬送する手続きをしていると報告がきた。新型コロナの患児は県内2か所に病院に入院することになっている。その後確認すると、脳症疑いとしてそのうちの一つである県内有数の市立病院に転送になっていた。

 

 

 内科では、(超)高齢者がCOVID-19 で入院して、コロナとしては無事隔離期間を経過して治っているが、嚥下障害で食事摂取ができたいため、一般病棟に移す例が続いている。

 90歳女性は寝たきり状態で、もともと栄養剤をわずかずつ飲むだけだった。発熱で夜間に救急搬入されて、コロナと判明した。デイサービス先で感染した疑いがある。

 家族と相談すると、高カロリー輸液や経管栄養は希望されず、そのまま末梢の点滴でいいという。在宅介護を充分にしたという思いがあるようだ。

 ただ、と希望を言われた。息子さんは三味線奏者でそれを教えるのを仕事にしている。1か月後にコロナで2年間中止していた一門の発表会があり、(亡くなるのが)そこにかぶらないようにしてほしい、という希望だった(ダメなときはあきらめる。と弟子たちに伝えてあるとは言っていた)

 

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糖尿病と膵酵素上昇

2022年11月12日 | Weblog

 10月27日に地域の基幹病院糖尿病代謝科から、糖尿病性ケトアシドーシスで治療していた64歳女性が転院してきた。

 

 2年前に右視床出血を来して、同院で急性期の治療をした後に当院の回復期リハビリ病棟に転院している。担当は神経内科だが、糖尿病の治療は内科に依頼された。

 先方の病院では、インスリンとして持効型+超速効型のライゾデク(朝夕2回打ち)を使用していた。当時在籍していた内科の若い先生(女性医師)はライゾデクが好きで良く使用していたので、治療を担当してもらった。

 リハビリ後に退院となったが、退院後はそれまで通院していた内科医院に依頼していた。現在もそこに通院している。

 

 今回は9月25日に右肺炎を発症して、糖尿病性ケトアシドーシスとなっていた。診療情報提供書には血液ガスの所見は入っていなかったが、血中ケトン体の著増は記載されていた。

 HbA1cは8.3%で、それまでとさほど変わっていないようだ。肺炎発症と、数日のインスリン注射の休止や食事摂取不良で急性にケトアシドーシスに至ったのかもしれない。

 患者さんは認知力低下があり、息子との二人暮らしで日中はひとりになることから、インスリンは持効型のトレシーバ1日1回打ちに変更されていた。(ただ、α-GIとグリニド内服が毎食直前にあり、結構面倒な治療ではある)

 転院後は、先方の処方を継続して、血糖コントロールは問題なかった。1か月の入院による廃用症候群としてリハビリを行ったが、軽度の左不全麻痺はあるが、日常動作もさほど困らない。

 

 血中Cぺチチドは先方の検査で0.4ng/mlと低下していて、当院で再検すると0.62ng/mlと少し改善していたが、インスリン依存状態(<0.6ng/ml)に匹敵する。抗GAD抗体は陰性で、体型的にも家系的にも2型糖尿病ではある。CTで膵臓は萎縮していた。ケトアシドーシスにまでなったのは、投与されていたSGLT2阻害薬の影響があったか。

 ケトアシドーシスでの入院時の検査で、膵酵素の上昇も記載されていた。血清アミラーゼとリパーゼ(リパーゼの測定は何故?)が上昇していて、肺炎・ケトアシドーシスの改善とともに漸減して正常化していた。診療情報提供書に、特に腹痛・膵酵素上昇についての記載はなかった。(画像上膵炎はない)

 糖尿病で膵臓酵素上昇といえば劇症1型糖尿病だが、この患者さんは違う。それでも、何かこの患者さんの糖尿病に関連があるのだろうか。むしろ、ケトアシドーシス自体が膵酵素上昇と関連するのか。

 

 余談だが、2年前の右視床出血は、今回の頭部CTで見ると随分と改善するものだと思った。

 

 

 

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むずむず脚症候群?

2022年11月11日 | Weblog

 火曜日に内科医院から60歳男性が紹介されてきた。紹介理由は、

 高脂血症(高中性脂肪血症)でパルモディア(ペマフィブラート)を処方していたが、LDL-Cも高くなってきたのでゼチーア(エゼチミブ)を追加した。すると筋肉痛を訴えて、血清CKも上昇してきた。リウマチ性多発痛症(PMR)疑い、ということだった。

 地域医療連携室で診療情報提供書を持ってきたので、PMRではCK上昇はないので、処方薬の副作用として処方薬を休止して経過をみては、と伝えてもらった。とにかく診てほしいと言われたそうで、受診してもらうことにした。

 

 患者さんに経過を訊くと、紹介理由とは違うものだった。パルモディアは1年前から開始されていた。3~4年前から毎日夜間に(といっても就寝前の午後7時以降)に両下腿と足が痛くなる。夜間ずっと症状が続き、朝には軽減するが1日中症状はつづいているそうだ。

 日中は痛みというより違和感で、むずむずした感じかと訊くとそうだという。夜間ははっきり痛みと表現できる症状になる(我慢できない程度ではない)。夜間寝ていて、トイレに起きたり、背伸びをすると両下肢がつって大腿部まで痛くなる。

 日中には首や体幹部も瞬間的につることがあり、これははっきり痛いという。

 むずむず脚症候群という病名を聞いたことがあるか尋ねてみた。テレビでむずむず脚症候群の番組を見て、自分の症状と似ていると思ったそうだ。

 高血圧症で降圧薬を処方されていたが、1年前から高中性脂肪でパルモディアが開始された。それ以前にもCKは300程度になることもあった。

 症状が最近強くなったので、筋肉痛があると訴えたのだった。芍薬甘草湯が処方されて、朝夕に内服すると足がつる症状は軽快したが、いつもの?痛み・違和感は続いて変わらない。

 歩行や蹲踞からの立ち上がりはスムーズで問題なかった。両下肢の把握痛を診ると、痛みは感じず、かえって気持ちがいいという。

 検査してみると、CKなどの筋原性酵素上昇はなかった。軽度の肝機能障害は腹部エコーで確認すると脂肪肝だった。炎症反応はまったくの陰性だった(白血球・CRP・血沈)。血清鉄・血清フェリチンは正常域だった。

 

 パルモディアやゼチーアが症状を修飾した可能性は否定できないが、なにしろ処方以前からの症状が続いている。このようなむずむず脚症候群の症状があるのかわからないが、それに準じた処方で経過をみてもらうことにした。

 ビ・シフロール0.125mgから開始した。1週間後は、最近何度か仕事を休んでいてすぐには来れないというので2週間後とした。

 全身こむらがえり病という病名もちょっと浮かんだが、詳細は忘れた。このような症状は内科の中では神経内科になるのだろうか。それとも大学病院などの総合診療科がいいのだろうか(さすがに千葉大総合診療科までは紹介できない)。紹介することも想定して、経過をみることにした。

 

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