木曜日の午後に、保健所依頼のPCR検査を行った。その後COVID-19の新規入院があるので、救急外来を出入りしていた。
救急担当の外科医(大学病院外科)が、救急搬入されたらしいそれほど高齢ではない女性を診ていた。看護師さんが検査着に着替えさせていたが、されるがままという体位だった。
COVID-19に罹患した84歳女性は、職員(息子)の母親だった。息子夫婦と3人暮らしだが、まず息子の嫁が罹患して、その後に息子が罹患していた。
前日の休日に発熱が外来を受診して、コロナの抗原定性検査が陽性と判明していた。翌日のその日も発熱があって、食事摂取できなかった。保健所ではケア付き施設に入所させる予定で、外来アセスメントが依頼されていた。
発熱が続いて、食事摂取できないと結局入院依頼になる。施設は県庁所在地にあるが、入院は居住地の病院に戻されるので、週末に依頼される可能性が高い。外来アセスメント後に入院治療とした。
感染病棟に入院となって、治療(レムデシビル点滴静注)や必要時指示などを出した。その日救急からの内科入院の担当ではなかったが、救急に来ていた患者さんはどうなったかと確認した。
患者さんは67歳女性で、発症直前まで症状はなかったらしい。その日昼食後に家族の車に乗車して出かけた。途中で嘔吐と意識低下があり、そのまま家族が車で連れてきたのだった(救急搬入ではなかった)。
診察時は開眼して名前は言えるが、見当識障害を認めた。住所は隣町だが、別の町の内科医院に1型(?)糖尿病で通院しているということだった。血糖は288mg/dlで症状を呈する値ではない。治療の詳細は不明だった。
診察した外科医は、脳卒中疑いとして、頭部CTを行った。すると、脳血管障害ではなく、腫瘍があった。右前頭葉・側頭葉にかかり、比較的境界は明瞭だが、脳幹部も圧排して正中偏移している。
頭部MRIも追加していて、よりいっそう明瞭に脳腫瘍が描出された。最初に地域の基幹病院脳外科に連絡したようだが、そこでは脳腫瘍は診ていない。医療センターに連絡して受け入れOKとなって、救急搬送していた。(基幹病院の先生は医療センターからの赴任で、そちらを勧めてくれたのだろう)
それにしても突然発症で、通常は脳血管障害(脳出血・クモ膜下出血)を考える。突然発症は、詰まる・裂ける・破れる・捻じれる、だから。今回は脳圧亢進の閾値を一気に越えたということなのだろうか(腫瘍内出血でもないが)。
この結果には驚いた。