なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

Restless X syndrome

2022年11月10日 | Weblog

 毎年楽しみにしているCareNeTVの千葉大GMカンファンスの配信が始まった。第1回はRestless legs syndromeは下肢以外でも起きうるというものだった。

 

CareNeTV 千葉大GMカンファランス2022 

第1回 10年前から左下腹部痛が続く63歳男性

 10年前から夜間のみの左下腹部痛が続き、他院で上部・下部内視鏡検査、CT検査を行ったが、異常を認めなかった。下肢の症状ではないが、Restless legs syndromeの亜型として治療したところ、症状が改善消失した。

言語化困難な痛みは、錐体外路症状を鑑別すべきであり、本症例は夜間のみの症状で、運動や圧迫による改善を認めることから、Restless legs syndromeの亜型を疑った。
・プラミペキソール0.125mg/日を開始したところ、48時間以内に圧迫感と痛みは完全に消失。

診断
 Restless Abdominal Syndrome(RLS variant)

 

RLSの診断基準
1.通常、脚の不快な感覚を伴うか、または脚の不快な感覚によって引き起こされると感じられる、脚を動かしたい衝動がある。
2.症状は横になったり座ったりするといった安静時または不活動時に始まるか、悪化する。
3.症状は歩行やストレッチなどの運動によって、少なくともその活動が続いている間は、部分的または完全に緩和される。
4.安静時または非活動時の症状は、日中よりも夕方または夜間にのみ起こる、または悪化する。
5.上記の特徴の発生は、他の医学的または行動学的状態(例えば、筋肉痛、静脈うっ滞、下肢浮腫、関節炎、下肢けいれん、体位性不快感、習慣的な足踏み)に起因する症状としてのみ説明されない。

Restles X syndrome ※Xには体の部位が入る                                     X:Head、Mouth、Chest、Back、Abdomen、Genital、Legs、Bladder、Bowel、Trunck、Arms

鉄欠乏からのドパミン不足によって起こる。貧血がなくても潜在的な鉄欠乏をみるために、血清フェリチン値を測定する。

治療
薬物療法
1)ドパミンアゴニスト(ビ・シフロール)1錠(0.125㎎)就寝前(症状発現の2時間前)1日1回0.5㎎まで
2)ガバペンチンエナカビル(レグナイト)300mg1錠1回夕方(特に痛みが強い場合)ドパミンアゴニストほどの改善は期待できないが、ドーパ薬長期投与に必発の増強減少augmentationが生じにくい
3)ベンゾジアゼピン薬(クロナゼパム)0.5~1mg就寝前 夜間のふらつき、翌日の眠気などの副作用あり 軽症例のみ
4)その他:ドパミンアゴニスト貼付薬、l-dopa合剤(保険適応外)、プレガバリン(リリカ)(保険適応外)

Take-Home Message
 体動や圧迫で改善する夜間の感覚異常はRestless X syndromeを考える
※Xには体の部位が入る

 

コメント
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